4 TV
テレビの調子がおかしいので修理に出した。
戻ってきたテレビは、にも関わらず時折ノイズが走る。視線を逸らすと音がクリアに流れ、目を戻すとまたノイズが走る――という挙動を続けている。
そのテレビでぼくがニュースを見ていると、るうが徐にビデオカメラを設置し始めた。何をしているのか訊ねてみると、
「見ていない瞬間を見たいんです」
だそうだ。気持ちは分からなくもないので、ぼくも設置を手伝う。
……テレビを点けっぱなしにして眠った翌朝、リビングに行ってみると、るうはすでにカメラの前へ座り込んでいた。
「どう、何か映った?」
言いながらモニターを覗き込む。
何の変哲もない番組が映っているだけ。
が、目を眇めてすぐにぎょっとした。
画面下に歪な赤文字で『見るな』というテロップ。
るうは小さく首を捻る。
「シャイなんでしょうか」
「違うと思う」
「これが本当の照れびですね」
「…………」
すごく言葉に困った。
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