三章 天使の慟哭 6

 衝動に駆られるがままクロエの精神、肉体共々蹂躙し尽くした。しかし結局クロエは任を辞めるとは言わず気を失ってしまったのだ。サンも諦める訳にはいくまい。クロエが女王を見限るまで何度でも同じ目に遭わせる必要がある。

「サン! 敵襲よ!」

 クロエに触れようとした途端、外から聞こえたクローズの叫び声にサンの手は静止した。

「敵襲? こんな時に……」

 名残惜しく最後にクロエの頭を一撫でし、サンはその邪魔者の面を拝むべく外に出る。クローズとシェリーの前にいる人物に驚きは無かった。寧ろ予想通りとすら言って良いだろう。その人物は、アイリーン・フォレットと名も知らぬ執行者の二人だった。

「私のクロエはどうやらここにいないらしいな。クリスティアの話も当てにならねぇな」

「慎んで下さい。恐らくは擦れ違いになったのでしょう」

 野生の獣を連想させる執行者が嘯き、それをアイリーンが窘める。

 その遣り取りでサンの腸が煮えくり返りそうになったが、内心ほくそ笑む。どうやら執行者はここにサンとクロエがいるという情報を掴んだらしいが、クロエはもう出て行ったものと思い込んでいる。その勘違いは当然正すつもりはない。

 そこでアイリーンの汚らわしいものを見る様な視線に、はたとサンは気づく。

「あなたもとうとう魔女に堕ちてしまいましたか」

 もはや執行者などと語る口は持たない。サンはただその滾る殺意をアイリーンに送るのみだ。クロエとサンを脅かす者は何人たりとも生かしておくつもりなどない。

「まあまあ、そこまでにしとこうぜ。向こうもやる気みたいだしな。私はサンをやるけど文句ないよな?」

 上等だ。野蛮な執行者が、か細い剣を抜き放つのに合わせサンも両手に黒い剣を出現させる。相手が執行者だけに手心を加えるつもりはない。

 そんなサンの黒い憎しみを映し出す様に太陽は隠れ暗雲が立ち込める。当然ながらクローズも手を抜く気はないらしい。

「なら私はあの魔女を始末します。以前は取り逃がしましたが今回は逃がしません」

「ふざけないで……死ぬのはお前達よ」

 アイリーンとクローズの殺意を込めた視線が交錯する。あの分ならアイリーンはクローズに任せた方が良いだろう。アイリーンの使用する魔法は知れているだけに以前と同じ轍を踏みはしまい。

「シェリー、後ろでいつでも召喚出来るように準備しといて」

 横にいるシェリーに話しかけるもサンの視線は執行者からずれる事は無い。

 この血の気の多そうな執行者から目を離せば何をしでかすか知れた物じゃ無いからだ。

 その頼みを反駁する事もなくシェリーはすかさず後退する。

 痩身の獣が一歩踏み出した途端、戦闘の火蓋が切って落とされた。その異常な執行者の迫る速度にサンは目を見張る。が、考察に先んじてサンは顔を逸らす。刺突しようと突き出された剣をすんでのところで躱したのだ。おかげで傷は頬の掠り傷のみで済んだ。

「くそッ」

 返しにサンも影を振り下ろすも、案の定その俊敏な動きで避けられてしまう。憎しみの赴くままに執行者を執拗に追い回し、影の剣で巧みに攻めるも当たるどころか掠る事も無かった。

「ちょこまかと鬱陶しいッ!」

 最後に影を薙ぎ払うも、当然それが執行者に通じる筈も無く避けられてしまう。そうして執行者が下がり続けた事により距離が生じサンもやむなく立ち止まる。

「もう終わりか?」

 そんな安い揶揄にサンは乗りはしない。接近戦が不利ならばと執行者の周囲に夥しい数の黒い鎖を出現させる。これで縛り上げればいかに執行者といえど終わりだ。サンが冷酷に口角を釣り上げると一斉に執行者目掛けて鎖が射出される。

「な、に」

 その驚愕の声は執行者ではなく、サンのものだった。

 何しろ鎖は何条もあるにも拘わらず、その一条すら執行者を捕らえる所か掠りもしないのだ。その動きは華麗にして大胆、もはや人間のそれではない。だがサンはこの攻めを止めるつもりはなかった。これを続けていれば孰れ執行者といえど疲弊し捕らえる事ができる筈なのだ。

 風が吹き荒れサンの髪を乱そうとも、いきなり豪雨に見舞われ全身が水浸しになろうともそんなことサンは気にしていられない。サンの眼中にはあの怪物しか映っていないのだ。


 クローズとアイリーンも例外では無く豪雨に見舞われ、全身を濡らす羽目となる。今回ばかりはクローズも体を濡らさないようにするなどという余裕は無いのだ。

 前回の戦いでは気を失ってその戦い方こそ見ていないものの、サンから話を聞きクローズもアイリーンの使う魔法は理解している。火水土雷風と五つもの魔法を使いこなすらしいが先に知れているのならば恐怖するに値しない。

 後の事など考えず全力で魔力を注ぎ込み悪天候を作り出す。風で吹き飛ばそうとしようものならこちらも対抗して風を吹かし相殺するだけの話だ。

「また同じ手ですか」

 アイリーンの言葉などクローズには届かない。聞く必要が無いのだ。何と誹られようが構わない。何故ならばこの悪天候でこいつの使う魔法を粗方封じられるのだ。やらない手はない。

 アイリーンとクローズの距離は走れば五歩で辿り着くという短さだ。決着が付くのは一瞬だろう。懐から小刀を取り出しクローズは走った。

 一歩——先ず火の魔法は言わずもがなである。こんな天候で火の魔法など使える道理がない。

 二歩——次に雷の魔法。そんなものをこの雨の中で使おうものならクローズもそうだがアイリーンもただでは済まないだろう。故に使える筈がない。そして水の魔法。どんな形で展開させようともクローズの突風で吹き飛ばしてみせる。そうできるだけの魔力も自信もあるのだ。風の魔法も同じく相殺してみせる。

 三歩——そして最後に土の魔法。こればかりは魔法で対処できないが、それしか脅威がないのだから応じようもある。そこだけに注意を払えばいいのだ。

 四歩——ここまで距離を詰めたというのに何の魔法も使ってこない辺り、クローズを舐めているのだろうか。それならそれで一向に構わない。その油断が奴の死を招くことになるだろう。

 五歩——クローズの目論見通りアイリーンの側に辿り着き、小刀をその胸に深々と突き立てた。早々に立っていられなくなったのか口元を血で染めながら、その場に倒れ伏す。その出血量から死んでいるのは明らかだ。

「はぁ——やった。やったよ父さん、母さん。私が教会の人間を一人殺したんだよ。これで一つ無念が晴れたよね」

 黒い空に向かって呟きながら、クローズは興奮のあまり思わず哄笑する。

 何て呆気ないのか。執行者がこんなに呆気ないものならば、賢者の石の探索と並行して両親の復讐もしていけるのではあるまいか。

 しかし喜ぶのはまだ早い。ふとクローズは笑いを止め、背後でサンと戦っている執行者を眺める。

 どうやらサンは苦戦しているようだが今のクローズならば仕留められるに違いない。残り一人の敵を片付けるべく歩き出した途端、後ろから何かに小突かれ思わず倒れてしまう。立ち上がろうにも四肢にまったく力が入らない。

「ぁ……なん、で?」

 そう言葉に出したものの、霧が立ち込めた様に霞んでいく視界で晴れていく空を目にしてはたとクローズは理解する——魔力を使いすぎたのだ。後先考えず魔力を全力で注ぎ込んだが故に脱力してしまったのだろう。朦朧とする意識の中クローズは理解した。それならばこの動かない体にも説明が付く。

 残念だがあの敵はサンに譲る事になるがこの際どうでもいい。次に目を覚ました時、クローズの目の前に執行者の死体が二つ並んでいれば問題無いのだ。そしてその死体を眺め散々笑い飛ばした後に賢者の石を探しに行く。そうして両親を生き返らせるのだ。その未来を考えれば考える程クローズの顔は自然と綻ぶ。だが今は眠らなければならない。体がそれを求めているのだ。

 そうして幸福な夢を見ながらクローズは意識を白い闇に手放した。


「幸福な死と言った所でしょうか? まあ、魔女の考える事など私には理解できませんが」

 そこに転がっている汚らわしい死体を眺めながら、アイリーンは自分の胸に刺さっている小刀を抜いて捨てる。途端に傷口が手品のように塞がってしまう。

 魔女を殺せたというのにアイリーンの顔は喜びとは程遠く嫌悪に歪んでいた。

 その死に様があまりに気色が悪いからだ。何しろ背中にぽっかりと穴を空け夥しい量の血を流しているというのに、その死相だけは幸せそうに綻んでいるのだから気味が悪いという他ない。

 いかに人外の魔女といえど心臓を貫き焼いてしまえば生きてはいないだろう。敵であるアイリーンに背を向け、剰え馬鹿笑いしていた滑稽な魔女の心臓を背後から杖で串刺しにしたのだ。止めに杖に熱に込め、心臓を焼き尽くした結果これである。

 おかげで血が焦げた臭いが鼻につく。

 魔女の敗因は油断に慢心、アイリーンの魔法を五種類しかないと決めつけてしまったことだろう。

 アイリーンの使う魔法は五種類ではない。厳密に言うなら火水土雷風の魔法はアイリーンの魔法では無いのだ。この五種類の魔法は杖の効力である。この杖は持ち主の魔力を注ぎ込めば火水土雷風の内、任意の魔法を使える魔導具なのだ。

 真のアイリーンの魔法は蘇生である。

 アイリーンは自分自身に蘇生の呪いをかけているのだ。死亡した際に体内に魔力が残存しているならば本人の意思に関係なく生き返ってしまうのである。故に、アイリーンは死ぬ事は決して無く、蘇生し続けるのだ。言ってしまえばアイリーンはただ不死身というだけなのだ。

 それを見抜けた魔女は今までに一人もおらず、悉くアイリーンの不意打ちに遭い文句なく死んでいった。この魔女もその例に漏れない。

 しかしアイリーンは半ば後悔していた。この脆弱な魔女にこの戦い方をする必要など無かったのだ。そこまでしなくとも恐らく勝てたに違いない。アイリーンはあの魔女を買い被りすぎたのだ。

「私としたことが……残りの敵はゲイルに任せましょう」

 アイリーンの鋭い眼光がサンを射貫くも、そこから一歩も動かずただサンとゲイルの戦いの帰趨を見守るばかりだった。

 蘇生の魔法は当然魔力を大量に消費する。

 それに加えアイリーンは小刀で突き刺された事で更に魔力を地べたに垂れ流したのだ。もう一度蘇生できる分の魔力があるのかどうかも怪しく、とても戦える状態では無い。

 アイリーンが悔しさに打ち震えるのも無理は無かった。殺すべき魔女がもう一人いるというのに指をくわえて見ているしかないのだ。それはアイリーンにとって何よりも重く辛い責め苦も同然だった。


 無数に黒い鎖を生成し攻め続けた結果として無駄に魔力を消費しながらも、サンは今戦っている執行者について理解した。

 あの敏捷な動きは全て風属性の魔法があってこそのものなのだ。あの執行者は己の動作の一つ一つに風を乗せ、速度と威力を上乗せしているのである。言うなれば奴は風の魔法を強化の魔法のように駆使しているのだ。

 しかし厄介な事にそれが分かった所で対策など練れない。効果が単純なだけに対策のしようがないのだ。それを承知の上でサンは再び接近戦に持って行く腹だった。このまま根比べをするよりは遙かに勝率が高いからだ。

 出現させている鎖を消滅させ足を踏み出そうとした時に違和感を覚え、ふとサンの視線が空に向く。その違和感の正体は考えるまでもなかった。それは——

「……晴れてる」

 煌々と輝く太陽を思わず凝視してしまう。何故クローズは一度発生させた雨雲を退散させたのか。やはりあの執行者に天候の操作は通用しないという事だろうか。それともクローズが手早く決着を付けたのか。

「——クロー、ズ」

 その真相を知るべく視線をクローズの方に向け、今度こそサンは絶句してしまう。

 厚着の女が俯せで倒れているのだ。しかも背中に穴が空いておりもはや絶命しているのは誰の目から見ても分かる。

 その人物がクローズであると理解するのにサンはどれだけの時間を要しただろうか。そこでその隣にいる人物と目が合い全てを理解する。クローズはこの女に殺されたのだと——

 何を考えるでも無くサンの体は勝手にアイリーンへ向かい駆け出した。本能がこの女だけは殺さねばならないと訴えかけてくるのだ。

「どこ見てんだよ!」

 そんなサンの衝動を遮らんとしたのは一陣の風だった。相変わらずの身の熟しで風使いの執行者はサンの眼前に割って入ったのだ。しかしサンは止まらない。止まるつもりなど毛頭無いのだ。サンが躊躇いなく影を振り下ろした刹那、風使いは分が悪そうに顔を顰めすかさず身を翻す。が、不用意に接近しすぎたが故に完全に避けきれる筈も無くサンの影は執行者の首こそ討ち取れなかったものの、静かに左腕を討ち取る。

「ッ——!」

 腕を切断される激痛に声を押し殺す執行者に追撃もせず、足を止めサンが視線を逸らしたのは本能に勝る危機感だった。執行者はだらりと垂れ下がる自身の左腕に一切頓着せず、遠方を驚愕の顔で睨め付けているのだから異常に感じぬ筈がない。その存在感に執行者もサンも言葉が出なかった。

 そこにいたのは正真正銘の怪物だ。

 四つ脚である所に爪と牙を見れば獣類を彷彿させるが、断じてそんな既存の言葉で表せるような生物ではない。尾は蛇頭で形成され、その頭には敵を威圧する様に捻れた角を対に有しているのだ。そして極め付けに一切汚れの無い純白の翼が生えているのだからただの獣である訳が無い。

 その隣にはシェリーが能面のような表情で立ち尽くしている。その怪物をシェリーが召喚したというのは誰の目からも明らかだった。無表情ではあるが、恐らくクローズが殺されサンと同じく激情したのだろう。さもなければシェリーは誰からの指図も受けずそんな勝手な真似はしない。

「アイリーン! 腕を治してくれ!」

 風の執行者は仲間に一瞥もくれず、野太い声で吼えた。その顔には一切の余裕がなく焦燥しているのがサンにも手に取る様に分かる。この状況で片腕が動かないのがもどかしいのだろう。

「魔力が尽きているので不可能です。ゲイル、あなたには不利を承知で戦って貰うしかありません」

 アイリーンの返答にゲイルの瞳は苛立ちに濁り、舌打ちを返す。

「なら撤退しよう。一人でこいつ等の相手をするのは厳しい」

 ゲイルとアイリーンの会話を余さず聞いているサンは、ゲイルとの距離を一気に詰めるべく腰を沈ませる。

 クローズを殺した下手人を逃がすつもりなど有りはしない。ここまで追い詰めたというのならば尚更だ。

 ゲイルが背を向けるのと同時にサンも駆け出す。風の魔法を使われればいかにサンといえども追いつけまい。故にサンは使われる前に全力で駆ける。

 そんなサンの速度など取るに足らないと嘲笑するようにその横を獣が嵐もかくやという速さで通り過ぎていく。

 シェリーの召喚した魔獣だ。あれなら難無く風の執行者に追いすがり殺す事ができるだろう。そう確信しサンの口角が緩んだ途端、直ぐにその考えは改めさせられる。サンは足を止めざるを得ず、みすみす逃げる執行者を見送る他に無かった。

 その魔獣は執行者の眼前に回り込むのではなく、サンの眼前に回り込んだのだ。威嚇までしてくるのだから止まるしかない。その間隙を見逃す筈もなく執行者はもはやサンの追いつけない所まで逃げ果せていた。

「シェリー……何のつもり?」

 魔獣から目を離し、サンは有りっ丈の憎しみを双眸に込めシェリーを睨み付ける。

 返答次第では刺し違える覚悟でシェリーに斬り掛かるのも厭わない。それだけサンにとってクローズは大きな存在だったのだ。

「逃げるのに追いかけることない。それでサンまで死んだらどうするの?」

 殺気立ったサンとは違い、近寄りながら話すシェリーは酷く悲しげだった。

 クローズを喪い直ぐにまたサンを喪う事をシェリーは恐れたのだろう。魔獣が消えるのに続きサンの手から黒い剣が霧散する。もはやサンに殺気など微塵もなかった。

「分かってるの? あいつらにクローズは殺されたのよ」

「分かってる! 分かってる……」

 シェリーの嗚咽が耳に付き、サンは罪悪感に苛まれる。顔見知りであるクローズを喪い一番辛いのはシェリーである筈なのに、サンは何故彼女を責めているのだろう、と。しかし分かってはいても責めずにはいられなかった。

 クローズはサンを単なる協力者としてしか見ていなかったようだが、サンにとってクローズは掛け替えのない友人だったのだ。サンをここまで導いてくれて、尚且つクロエを救えたのも偏に彼女のおかげといっても差し支えない。

が、それは余計な感情だ。サンの考え方は間違っている。元よりそういう約束なのだ。〝お互いがお互いの目的を達成するまで協力する〟という縁しか無い以上、友人などという繋がりが生まれる筈がない。だからこそもうサンはクローズの事など考えない。サンの目的は果たされ以上、もうたかが協力者の事など考える必要も無いのだ。

「……クロエの様子を見てくる」

 冷え切った声でシェリーに告げ、サンはクロエを匿っている家に向かう。彼女はまだ嗚咽をあげているようだが関係ない。彼女もただの協力者である以上、サンには関わりの無い事だ。サンはただクロエの事を考えれば良い。だからこの胸に走る痛みも気のせいに違いないのだ。

「クロ、エ」

 扉を開けた途端、サンは絶望の深淵に突き落とされる——縛っておいた筈のクロエの姿が見当たらないのだ。

 サンを驚かそうとしてどこかに隠れているのではあるまいかと家内を引っ掻き回すように探すが一向に見つからない。そうして散々捜し回った後にサンの脳裏に浮かんだのはクロエの仲間だというあの二人だ。この状況でクロエを逃がす者と言ったらもはやこの二人以外に有り得ないだろう。

 慌ただしく外に飛び出し、死体の前で黙祷しているシェリーの下へサンは駆け寄る。一刻の猶予も惜しいのだ。

「シェリー、移動するから羽のある奴お願い。事情は道中話すわ」

 そこにいたのは普段通りのシェリーだった。その表情からは何も読み取らせず、ただ頷くのみだ。しかしサンには関係ない。協力者が何を考えようとも、ただ協力さえしてくれれば何の問題も無いのだ。

 八つの領に一つの都市。この中でクロエが向かうとすれば、西の領のサクレだろうか。ここから近い事もさることながら、あそこの領には新聞が普及していない村もあるのだ。それぐらいしか手がかりが無い以上、そこに向かうしかサンに道は無い。

 己の唯一の拠り所が奪われそうな危機に瀕し、サンはこの上なく必死だった。

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