第42話 病院薬剤師 片岡奈々

 「こんにちは、岡さん。おかげんいかがですか?」

 病室のドアが勢い良くガラっと開き、入ってきたのは白衣を着た、ショートカットがよく似合う二十代後半くらいの女性だった。

「おぉ、片岡さん」

 おじちゃんは右手を上げて返事をした。片岡さんと呼ばれる女性は私に気づき、笑顔で軽く会釈をする。

「あっ、初めまして。薬剤師の片岡奈々です。こちらの病棟を担当しています」

「どうも……」

 私は彼女のはつらつとした笑顔に驚いた。こんなに生き生きと仕事をしている病院薬剤師がいるなんて思わなかった。私が学生時代に病院実習をした病院では、薬剤師みんな疲れていて表情も暗かった。楽しそうに仕事をしている人なんているようにみえなかったのに……。世の中にはこういう人もいるものなのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る