第29話 違和感

「ぜひ、おじちゃんのかかりつけ薬剤師にならせてください!」

「いやいや、お願いするのはこっちの方だからよー。頼むよ、春香先生」

 おじちゃんは私の方をポンポンと二回叩いた。

「でもね、かかりつけ薬剤師になれるのはうちの決まりで二回目の来局からなの。一回目で指名されても、次来なくなったら意味ないでしょ?」

「おぉ、そうなのか。じゃぁ、金曜日にまた来るぜ。予約入ってるからな」

「待って、来週来てくれるなら先に書類だけでも書いてもらおうかな」

「いいぜ。必ず来るからよ」

「そしたら、これに必要事項を記入してね」

「おぅ」

 おじちゃんにかかりつけ薬剤師の同意書を渡して、記入している間まじまじとおじちゃんを観察した。どうしてあんなに好きだったおじちゃんの事をすぐにわからなかったかのだろう。最後に会ったのが二十年前だし、記憶が薄れていただけなのだろうか。上から下までジロジロと眺めてみる。頭髪は年相応に薄くはなっていたが、以前と大して変わらないと思う。顔は少し老けた気もするけどこれも年相応だと思う。視線を顔から少しずつ下げていくと、その理由がわかった。

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