第8話 過去と現在

「そうだ、二人付き合っちゃいなよ」

「え!?」

 私は驚いて墨田君を見つめると、彼は優しく微笑んでいた。

 この後、私たちは実際におつきあいする事になるも、あっさり半年で私は振られた。あっという間の出来事だった。別れた時に理由は聞かなかったけれど、きっと彼にとっては私は遊びだったのだと思っている。いつも美味しいものを食べていると時々質素なものが無性に食べたくなる、私はそんな感じだったに違いない。そうじゃなければ、私と彼が一緒にいる事は不自然でしかなかったから。

 そして、その半年後が今だ。目の前にいるのは眉間に皺を寄せて腕組みをしている久美子さんで、あのゆるふわ笑顔の男子ではない。さらに、明日どこに出かけようかというウキウキ感ではなく、クビまであと一ヶ月という厳しい現実だった。

「それで、あなたはあと一ヶ月どうするつもり?」

 久美子さんはギロリと私の顔を睨んだ。

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