第6話 二人きりじゃなかった

 今日は美紀と私の二人きりじゃなかったんだ……。そういえば、誘われた時に二人きりとは言っていなかった。でも、誰かを連れてくるならその事を言ってくれても良かったのに。そう思って私は立ち尽くしていると、美紀が私に気づいて、「春香、こっちー」と、満面の笑顔で手を振ってきた。私も小さく手を振って答えた。

 やっぱり納得いかない部分はあったけれど、もうここまで来ちゃったししょうがないと思って美紀のいるテーブルまで足を進めた。その途中も美紀と男子二人が楽しそうに話しているのを見ると、せっかくだし楽しもうという気持ちに変わっていった。

「春香、今日来てくれてありがとう」

「ううん、でも今日は二人じゃなかったんだね」

「実は、紹介したくて。でも、その前に何飲む?」

 美紀はメニューを私に向けて開いてくれた。私は一番最初に目に入ったカシスオレンジにした。美紀が店員さんにオーダをしてドリンクが来る間、私はどうして良いかわからず、ずっと俯いていた。

「じゃぁ、ドリンクもそろったし乾杯しよっか」

「せーの、かんぱーい」

 私は慌ててグラスを持って乾杯をした。その時にやっと二人の男子の顔をちゃんと確認したのだと思う。今までちゃんと顔を見れなかったのは、二人の顔がモデルと見間違うくらい整っていて、しかも私の大好きな菅田将暉にそっくりだったからだ。

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