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「と、いう事で柊様。子供を殺すなんて悪趣味なことはやめてこの子を保護するべきだと思います。」



「おい有紗。悪口にしか聞こえないんだが……。」



うん。悪趣味は悪口だと思うけど、すべてが事実なんだから仕方ないと思う……。



「じゃ、カガリちゃん!今日から私達がカガリちゃんの親代わりだよー!」



といって私に手を差し出す有紗。



……親……



「うん」



……親か……

私の本当の親は何をしているのだろう……

そもそも、生きているのかな?



そんな事を考えながら私は有紗の手をとる。



そこで柊が私たちに近づいてきてこう言った。



「俺は柊、中御門(なかみかど)柊だ。お前は俺らが保護する。お前には中御門の名をやる。」



中御門……柊……。



「え!柊様!そんな事勝手に決めちゃっていいんですか?!」



「構わん。お前は今日から中御門カガリだ。カガリという漢字はこれをやる。」



そう言って、柊が土に文字を書く。

そこには“燎”という一文字が書かれていた。



「それでカガリと読む。お前は中御門燎だ。わかったな。」



「中御門……燎……」



そう、繰り返す。

……嬉しい。

自分でもビックリするくらい喜んでいるのがよく分かる。



「なんだ?気に入らなかったか?」



ニヤ付きながら柊がそう聞いてくる。

どうせ、分かっているくせに。



「ううん、ありがとう柊。とっても気に入った。」



そう、笑顔で返す。



「……そうか。」



柊も嬉しそうに笑う。



──6月24日……この日は私にとって忘れられない日になりました。

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竜虎─リュウコ─ 桜雨(きるう) @kiru_1108

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