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「ちょっと柊様!」



と、後ろの女が声を荒らげる。



「なんだ有紗(ありさ)。俺の決断にケチ付けるのか。」



そう、柊が後ろも向かず私の目を見据えて言う。

あぁ、後ろの女は有紗と言うのか。

とても可愛らしくまだ若い。

おそらく柊と同い歳かそれより年下であり、私よりも年上だろう。

あと……む、胸が……デカイ。



「そういう訳ではありませんが、きっとその子も逃げ遅れた民間人の子供でしょう。保護するべきだと私は思います。」



分からない。

一体何の話だ。

逃げ遅れただの民間人だの……。

なぜこの街はこんなにも“壊れている”のだろう。



「……そうか、民間人か……。だが、民間人は全員逃げていてその確認も取れたのいたんだろ。じゃ、このガキはなぜここにいる。答えろ有紗。」



柊は有紗にそう問う。

それよりも首元に刀を当てたまま会話をしたいで欲しい。

……怖いんだからさ。



「……そ、それは……」



柊の問いに言葉を濁す有紗。

……しっかりしてくれよ有紗さん、私の命がかかっているんだから。



有紗はしばらく考えるそぶりをして何か閃いたように目を輝かせた。

それから柊の隣に来て私よりも背が高い有紗は、私の身長に合わせる為に少しかがんで私と目線を合わせた。

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