第452話 丸刈り
ケーブルカー作成が思っていた以上に順調だったので、そのまま別荘も作る事にした。
庭には崖を利用した段差を作る。そして、その庭に露天風呂を作るのだ!
段差を作ったのは、下からも上からも覗けないようにする為と、同じ方向を向いたお風呂を作りたかったから。
これなら男湯でも女湯でも同じオーシャンビューを楽しめるってもんですよ。
あ、どっかのホテルの屋上プールみたく湯船の向こうは海、って風にしようか。
仮で雑なCGっぽいものを作って、どんなイメージになるか確認! 最近憶えた技ですよ。
うーん、海に続いているようには見えないか……でも、海に浮かんでいるようには見えるから、これはこれでいいや。
よし、決まったからちゃっちゃと作っちゃおう。外観デザインは解放的な感じで壁はなし、柱のみ。
日中、日差しよけはあった方がいいかな……えーと、昔の貴族の屋敷にあった、格子の戸は何ていうんだっけ? あんな感じのを付けるかな。
もしくは、衝立で誤魔化すか。あ、格子の戸を上げ下げ窓みたいに上から下ろすようにすればいいんじゃね? てか、これだとシャッターか。
これで熱い日差しを避けて、夜には全開で夜空を楽しむ。いいんじゃね? 波の音も楽しめそうだし。
建材はバビソンの木でいいかな。在庫あったっけ?
『そろそろ底を突きそうですね。こちらの大陸には妖霊樹の亜種のような魔獣がいます。狩りますか?』
亜種とな。向こうの妖霊樹とどう違うんですかね?
『名称は魔霊樹。バビソンの木のような軽さはありませんが、乾燥させると火にも水にも強くなります。また、魔力を込める事によって硬さが変わります』
ほほう? 水はまだしも、火にも強いのはいいねえ。木造建築は、火が大敵だから。
よし、じゃあその魔霊樹を狩りに行きましょう!
「行くぞー!!」
「どこへだ?」
あ、銀髪さん達の存在を忘れてた。
置いて行こうと思ったのに、頑なに付いてくるって聞かないし。我が儘な男性は嫌われますよ?
「貴族の女達になら、嫌われても痛くもかゆくもないな」
「同感です」
……ろくな目にあってないんだね。そういえば、お嬢様の群れがいたっけ。あれも度重なる墓穴掘りによって、解散を余儀なくされたんだっけかな。
とどめの一撃が、新しく造られた港街キッカニアに対する攻撃だったっけ。母親が首謀者だったけど、娘が群れの構成員だったからね。
銀髪さんは元王様なので、権力に群がる父親が自分の娘を押しつけてきてたそうな。
で、剣持ちさんも実家が上位の貴族家だからか、いい嫁ぎ先と認定されているらしい。銀髪さん程ではないけれど、それなりの突撃は受けてた模様。
やー、大変だね。
「それで、今はどこへ向かっているんだ?」
「ああ、別荘を建てる為の木材を狩りに行くんです」
「木材?」
「刈る?」
違いますよー。でも説明は面倒だから、またもや省きます。見てればわかるしね。
妖霊樹の亜種である魔霊樹は、なんと私がもらった山の殆どに棲息している事が判明した。検索先生情報だけどね。
でも、崖のある山にはいないんだって。海辺は嫌がる習性があるらしい。海からの塩気が嫌なんだって。植物に塩分は大敵だもんな。
で、どうせならとトンネルを掘った山に来た。この山は護くんととーるくんを放してある。
そういえばバッテリー交換タイプに改造しないといけないんだっけ。
んじゃ、まずは護くん達を呼び集めるか。
「集合~」
山の堀を越えたところで号令をかけると、山のあちこちからわらわらと護くんととーるくんが出てきた。
「多いな」
「その分、魔獣が多いって事で」
銀髪さんの呟きに、笑顔で答える。いや本当、知らん間に亜空間収納内に大量の魔獣素材があるんだよね。どんだけ狩ったんだ。
基本、とーるくんが狩るのは魔獣の中でも獣タイプで、植物タイプは狩らない。なので、妖霊樹とか魔霊樹は自分で狩らないといけないのだ。
妖霊樹は狩るの簡単だし、亜種だっていう魔霊樹も弱点は同じだそうだから、楽に狩れそう。
呼び寄せた護くんたちを、一旦亜空間収納に入れて、そっちで改造を行う。やるのは検索先生。
既にバッテリー用の人造ダイヤも大量生産出来たし。後は改造してバッテリーに魔力を貯め込むだけ。
で、改造の間、私は魔霊樹を狩っておく、と。
魔霊樹も妖霊樹と同じような場所を好むらしく、山間の谷底に密集して自生していた。
今回は下にいかず、上から魔法で根元を切る。端から倒れていく魔霊樹を、次々と亜空間収納内へと入れていった。
密集していた魔霊樹達は、三分の一が切られた辺りで逃げだそうともがいていたけど、逃がすつもりなんてないからね。
「はーっはっは! ぜーんぶ狩り取ってやんよ!」
「お前……それは悪者の言葉だぞ」
うるさいですよ、銀髪さん。魔獣にとっての悪者は、すなわち人間にとっての良い者なんだから問題ないんですー。
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