第450話 砂浜を作ろう
寝ている間に、亜空間収納内で人造ダイヤを作ってもらう。もちろん、検索先生にお任せだ!
『この労働対価は、ぜひとも新しい温泉で』
はい、心得ておりますとも。ダイヤが完成して、護くん、とーるくんの改造が完了したら、次は温泉だー!
何せ、新しく手に入れた温泉の数が数だからね。ウィカラビアに山脈一つ、キルテモイアに山一つ、旧ジテガンに山十三。
もうね、単位がおかしくね? 山脈とか山で数えるって、そうないよ?
その全てに、温泉別荘を作るんだから、結構骨が折れそうだわ。いや、全部魔法で作るけどさ。
護くんによる結界で、豪雨と湿気対策は何とかなりそうだから、デザインはやっぱりアジアンリゾートを目指そう。
そうそう、旧ジテガンの山のうち、二つが海に面してるんだって。海側は切り立った崖だから、ビーチリゾートにはほど遠いみたいだけど。
『いっそ、崖の下を浜辺にしますか?』
出来るんすか? そんな事。検索先生によれば、どうせこのまま数百年も立てば、波の浸食で砂浜が形成されるんだって。
なら、ちょっと魔法で先に作っても、いいよね?
「んじゃあ、崖下を先にやりますか!」
『温泉が先じゃないんですか!?』
温泉別荘の方が時間かかるから……先に、砂浜作らせてください。
翌日、朝食を皆で食べた後、海岸作る崖までひとっ飛び……と思っていたら、意外な人に捕まった。
「毎日毎日、一体どこへ行ってるんだ?」
「えー? 新しく手に入れた山の手入れに?」
砂浜作るのって、手入れって言うんだっけ? 首を傾げながら返したら、銀髪さんから怪訝な目で見られた。
「いや、山に行ってるのは本当ですよ?」
昨日はトンネル掘りに行ってたしなー。完成した事は、領主様が女王様に伝えてくれるって言ってたし。
多分、今日もマノンダ卿と一緒に王宮でしょ。後は管理を丸投げ出来るようになれば、柵を取っ払って本格開通出来るよ。
あ、トンネル作った山には堀を作ったけど、他の山はまだだったな。それもやらなきゃ。
銀髪さんを放ってあれこれ考えてたら、目の前で深い溜息を吐かれた。
「今日は俺も行く」
「へ? 何で?」
「そろそろ屋敷に籠もりきりは飽きたんだ」
えー? それならジジ様達と一緒に、王都見物でもすればいいんじゃないですかね?
ユゼおばあちゃんもジデジルへの指示が終わったらしく、一緒に毎日出歩いてるって聞いてるよ?
「お前……俺にお婆さま達の買い物に付き合えと?」
「あ、察しました」
ジジ様達、パワフルだからなあ。特に買い物に関しては。
キルテモイアの通貨は、王宮で両替してもらってるらしい。ていうか、あの方達、いくら持ってきたんだろうね?
「ジジ様達って、現金いくらくらい持ってきたんでしょうか?」
「金か? 金貨で数千枚とか言っていたな。全てお婆さまの個人資産だ」
「すうせんまい」
それって、おいくら万円? えーと、確か金貨一枚十万ブールで、一ブール一円くらいの価値観だから……
千枚の時点で一億……つまり、数億持ってきたって事!? しかも、個人資産って……ジジ様、本当にお金持ちなんだな……
「あれ? でも、ジジ様達の荷物に、そんな大量の金貨って、あったっけ?」
「その辺りは、お前の祖父が色々入る財布を提供したらしい」
じいちゃーん! そう言う情報は教えておいてよー。いや、聞いても多分、聞き流したけど。
でも、そっかー。財布なら、いくらでも入る容量と、ジジ様以外に開けられない機能なんかも付いてるんだろうな。
ひょっとして、引き寄せる術式もあったりして。これ付けておくと、盗まれてもすぐ手元に戻せるから便利なんだよね。
でも、それだけ持ってきたって事は、この先も割と買い物し放題だな。ジジ様達がこっちの大陸で買うのって、庶民が身につけるような布地だったり衣装だったりだもん。
何かね、軽くて着やすいんだって。どうせ奥宮だけで着るから、いいそうだよ。
「で? いつ出るんだ?」
あ、話逸らせなかった。銀髪さんが来るって事は、剣持ちさんも来るんだよねー。
三人に増えたので、ほうきではなく絨毯を使う。もっと遠出する時は船を使うけど、近場程度ならこっちの方が使い勝手がいいから。
まずは崖へ。おお、上から見ると結構な景観だなあ。
「ここで何をするんだ?」
「それは見てのお楽しみ」
崖丸ごと大きな岩だから、これはそのまま削って石材に使おう。砂浜の砂は、堀やトンネルで出た岩を細かく砕いて使えばいいか。
検索先生、波が良い感じにきて、砂を持って行っちゃわない場所、お願いします!
『はあ……温泉が先の方がいいのに……仕方ありません。ここをさっさと終わらせて温泉を掘りに行きましょう!』
先生、本当に温泉に関してはしっかり自己主張しますよね? まあいいや。仕事はしっかりしてくれるから。
AR表示のように、崖の一部に線が入る。ここから切り取ればいいんだな。
『切り取る深さはこちらで調整します』
お願いします! んじゃ、いきましょうか!
目の前の崖の一部が、文字通りいきなり消えた事に銀髪さんも剣持ちさんも驚いている。
続いて、欠けた崖の下部分に、空中から土砂が降り注いだ。
「何て事だ……」
今までも、魔法を使う場面なんていくらでも見てきたでしょうに。
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