第359話 これで解決

 魔獣のリポップ問題は残ったけど、とりあえず三カ所の魔獣の一掃は終了。


『再度湧くには三年以上の時間が必要ですので、問題ないかと』

「いや、その度に掃除しなきゃいけないんだから、面倒ですよ」

『なら、護くんを改造して、魔獣が湧いた時点で狩ればいいのでは?』


 その手があったー! という訳で、甲冑伯爵の領地にある山の中、護くんシリーズを改造して魔獣対策用のやつを作った。


「名前は何にしよう」

『神子のネーミングセンスには期待しません』


 わかってるけど。自覚あるけど! はっきり言われるとぐさっと来るんだからね!


 うーん、狩る、刈り取る……あ。


「魔獣が湧いたら即座に刈り取るでとーるくん!」

『……』


 検索先生から、冷たいまなざしを感じる! 実体ないのに!


 とりあえず、とーるくんは個体数を増やして三カ所の山全体を常時パトロールする感じで。


 魔獣は見つけ次第デストロイ。あ、素材はちゃんと回収しておくようにした。


 というか、とーるくんに亜空間収納の入り口つけとけば、勝手に収納されるんじゃね?


 という訳で、亜空間収納へのアクセスも付けてみる。やれば出来るもんだねえ。


『神子の能力がアップデートされた為、これまでより高度な術式を扱えるようになりました』


 強制アップデートも、たまにはいい事をする。


 甲冑伯爵の山から始まって、三つの領で買った山全部にとーるくんを配備。これで魔獣は大丈夫。


「あ。とーるくんは他の温泉周辺にも配備させておこうっと」


 一番湯も、何気に魔獣が多いからね。二番三番はまだしも、四番五番も魔獣だらけの山だし。


 あとは山の周囲に堀を作って、外から簡単に山に入れないようにしておかなきゃ。盗賊に棲み着かれたら堪らない。


『そちらもとーるくんに任せればいいのでは?』

「あ、そっか」


 んじゃ、一応盗賊の場合はデストロイなしで、失神からの捕縛にするよう命令を書き換える。


 一般人だった場合? そういう人達は、この山には近づかないから、山にいる人間=盗賊と思っていいと思うんだ。


 あ、それぞれの領主には、山に近寄らないよう地元の人に言っておいてもらわなきゃ。




 魔獣一掃ととーるくん作成で一日経ったので、別荘建築は翌日である今日に持ち越しとなりました。


「んじゃあ、温泉掘りに行ってきまーす」

「気をつけてのー」


 砦でユゼおばあちゃんとジデジルが大聖堂建設現場へ向かうのを見送って、今度は私が温泉建設へ行くのにじいちゃんが見送ってくれる。


 ここ最近、じいちゃんは何やら一人で開発中だそうな。形になったら見せてくれるって言っていたけど、何を作ってるんだろう? 気になるー。


 ポイント間移動でまずは六番湯としたおじいさん伯爵の領にある山へ。そういえば、山の名前も聞いてなかったなー。


 ま、いっか。そのうち適当な名前にすれば。


『ネーミングセンスがないの、自覚してるんですよね?』


 うるさいですよ。ちょっと最近の検索先生はおしゃべりなんじゃないですかね。


『神子のアップデートに併せて、こちらも機能が上位修正されています』


 強制アップデート、止める方法はないものだろうか。


 結局、温泉につけた番号にちなんで六番山、七番山、八番山と勝手に呼ぶ事にした。




 さて、本日の目的は建物の建設と、出来れば温泉を掘るところまでいきたい。


 外観は割とシンプル。さすがに四角いビルのようにはならないけど、ちょっとそれっぽい。


 上から見たら、小さい四角の後ろに大きな円がくっついているように見えると思う。前方後円墳の変形バージョンっぽい。


 手前の四角部分の屋根は、中央に開けた穴状の空間に向けて傾斜を付けている。これだけでも、一般的な家屋の屋根とは形が違うね。


 雨が降ったら、屋根の雨が全部空間に落ちるようになっているんだよ。下には空間より少し大きい膝丈深さのプールがあって、雨水はここに溜まるんだ。


 その後一定時間もしくは水が一定量になった時点で浄化、山を流れる川に流すようになっている。


 雨が降らない時は、川から引き入れた水を浄化して満たしておくんだ。室内にある人工池みたいな感じかな。


 あ、この辺りの天気って、どうなってるんだろう?


『ダガードは全体的に冬に降水が多くなる地域です。雨はまれで、雪になる事が殆どのようです』


 って事は、ここも雪深くなるって訳か。いくら標高がそんなにないとはいえ、一応山。それなりの高さはある。地上よりは雪が積もりそう。


 奥の円には、中央に浴室。その周辺に小さい休憩室を扇状に配置。浴室の天井は高めにして、開放感を演出してみました。いや、適当だけど。


 ここのお風呂は大きな円形の浴槽一つ。中央に女性の彫像を置いて、手に掲げ持つ壺からお湯が流れでる仕組み。


 ここの建物も、一定時間で浄化、洗浄するよう術式を組み込んである。掃除、面倒だからさ。


 魔力を貯めておけるシステムを組んで、来た時には必ず充填するようにしておく。


 一回フル充填すれば、二、三年は稼働できる計算なので、多分大丈夫なはず。


 二年も三年も来ないなんて事、ないでしょ。

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