第226話 結構凄そうです

 昼休みを挟んで、午後一杯で棟上げまで完了。やっぱり魔法は早いね。


 検索先生が張り切って温泉旅館風の設計をしたから、建てる柱や梁が多くて大変だったけど、何とか今日中にここまで出来た。


 元々北の国だし、山の中だから積雪を警戒して柱の本数が多めなんだって。屋根も工夫してあるらしいよ。


 冬の間はこっちにこもる予定だから、問題ないと思うんだけどなー。雪が積もったって、魔法で一瞬のうちに除雪完了だよ。


 まあ、とりあえず今日の作業はここまでって事で。


「明日からは直接ここに来るようにしようか?」

「そうじゃの。帰る際に、入り口の兵士達に伝えておけば良かろう」

「大きな別荘ですよね。完成が楽しみです」


 そうだねー。私も楽しみ。ってか、ジデジルは明日も付いてきそうなんだけど、大聖堂の方はいいの?


「予定が前倒しで進んでいますから」


 にっこり笑うけど、本当かな……普段なら心配はないんだけど、神子が絡むと途端にポンコツになる人だからなあ。


 教皇のユゼおばあちゃんも、馬車馬のごとく使い潰せって手紙に書いてきたし。


 教会における、ジデジルの評価って……




 入り口の兵士の人達に、次からは直接建設地へ向かうって言ったらびっくりされたけど、大丈夫みたいだった。


 今日はこのまま普通に空を飛んで帰るけど、明日からはポイント間移動でこようっと。ちゃんとポイント打ってあるし。


 別荘が出来たら、温泉に入り浸る予定。砦のお風呂も広く作ってあるから気持ちいいけど、温泉はまた別。


 あ、そういえば泉質調べてなかった。


『単純硫黄泉です。殺菌作用が高く、切り傷や外傷、慢性皮膚炎などに効果が期待されます。また、高血圧、動脈硬化、心臓疾患、脳卒中の予防にもいいとされてます。他にも疲労回復、筋肉痛、関節痛、肩こりなどに効果あり。こちらの温泉は飲用可能ですので、糖尿病にも効能があるかと』


 す、凄いね。効果抜群の温泉だ。それにしても、高血圧とか動脈硬化、脳卒中なんかは、じいちゃんにいいんじゃないかな? 年寄りって、その辺り出る人多いし。


 肩こりはじいちゃんとジデジルにいいかもね。疲労回復も。私は……今のところ必要ないかな。まだ若いし!


「何じゃ、一人でニヤニヤしおって」

「何でもなーい。あ、温泉の効能、結構いい感じだよ。疲労回復とか、肩こりにもいいみたい」

「何!? 本当か? おお、今から楽しみじゃのう」


 じいちゃんに響いたのは、疲労回復か肩こりか。腰痛にも効いたらいいのにね。……効くのかな?


「いいですねえ、疲労回復。サーリ様! 別荘が出来たらぜひ! 一緒に入りましょうね!」

「え? それは嫌」

「そ、そんな……」


 いや、お風呂は一人でゆっくり入りたいよ。砦でも、入浴時をジデジルに狙われているから、毎回防衛が面倒なんだよね。


 最近は容赦しなくなって、私がお風呂入る時にはジデジルを縛り上げてから入るようにしてる。


 護くんに仕込んでる網と同じ素材の紐を使うから、ジデジルには切れないしほどけないんだ。


 もうちょっと押さえてくれたら、お風呂くらい一緒に入ってもいいと思うんだけどねえ。




 翌日は、全員でポイント間移動で建設地へ。


「これがポイント間移動ですか……確かに便利です」

「これはサーリにしか使えんからな? わしは無理じゃぞ?」

「わかっております、賢者様。無理は申しませんよ」

「まあ、お主やユゼのばあさんなら、見せても大丈夫と思っとったよ」

「賢者様のご信頼、嬉しく思います」


 そうなんだよねー。今日初めて、じいちゃんとブランシュ、ノワール以外にポイント間移動を見せて、体験させた。


 まあ、ジデジルは神子至上主義だから、絶対口外しないって思ってたし。神子関連だけはブレない人だから。


 おかげで、じいちゃんからも許可が下りた。空を行ってもいいんだけど、やっぱりポイント間移動の方が早いし楽だから。


 さて、今日は最低でも屋根と壁をやらないと。出来れば内装まで行きたいなあ。

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