第225話 基礎は大事

「さて」


 ちょっと気合い入れる為に、腕まくりなんかしてみたり。や、別に腕力は使わないけどね。


 危ないので、みんなにはちょっと離れていてもらう。これからやるのは土台作りなので、周囲に影響が出るんだよ。


「そーれ!」


 まずは高台を掃除。大小の石や雑草、低木なんかを一掃する。うん、なかなか広いね。


 それからきちんと均して、基礎用の溝を掘り、ドラゴンコンクリートで基礎を作る。


 設計図は検索先生にお任せだったので、指示通りに基礎を作っていく。この上に建物が乗るから、基礎大事。


 固めるのは魔力で一気に。じいちゃんは私の魔力には慣れているし、ジデジルも総大主教を務めるくらいだから、魔力量は豊富。


 ブランシュとノワールは幻獣だから問題なし。よしよし、魔力酔いを起こす人がいないと楽ちーん。


 基礎部分が出来たら、基礎で作った枠の中に地面に、スライムで作ったシートを敷いて、その上からまたドラゴンコンクリートを流す。


 こうしておくと、下から湿気が上がってきにくいんだってさ。おばあちゃんの茶飲み友達の旦那さんが大工さんで、色々教えてくれたよ。


 コンクリートを固めたら、土台作り。この時、基礎と土台の間にスライム接着剤を使った。


 スライムは魔力の通し方によって様々に変化するから、砦みたいに断熱材に使ったり、こうして接着剤にしたり出来るんだー。本当便利。


 ちなみに、基礎と土台の間には、等間隔にスライムゴムを挟んでいる。スライムゴムは、名前の通りスライムで作ったゴム。


 これを挟む事により、基礎と土台の間に空気が通るから湿気がたまりにくくくなるんだって。


 やっと土台が完成。そうしたら、下に敷いたコンクリートの部分、床下に当たる場所に炭を敷く。


 これ、妖霊樹で作った炭なんだって。脱臭や湿気よけにいいらしい。湿気にこだわるのは、日本人の性だね!


『湖が近いですし、温泉を引くので、他の建物よりも湿気対策を重視しました』


 そうなんだ! さすが検索先生! わかってるう。


 さて、次は柱を――


「これサーリや、そろそろ一休みせんかい」


 じいちゃんから待ったがかかっちゃった。よくよく時計を確認したら、もうお昼! 気づいたらお腹空いてきた。


 こんな事もあろうかと、お弁当を作ってきたからいいんだけど、まだ建物は出来上がらないしなあ。


 よし! テントを出しちゃえ。


「じゃーん」

「ふむ。まあ、これがあった方がくつろげるしのう」

「テントですか……? それにしても、大きくて何と居心地の良さそうな……」

「ピイピイ」

「懐カシイネ」


 そうだねー。砦に来たばっかりの頃は、テントで生活していたもんねー。


 もちろん、大きなやつだけでなく、風呂トイレの小さい方も出したよ。じいちゃんは男だからそこら辺でもいいけど、私とジデジルは……ね。


 本日のお弁当は、定番のサンドイッチ。具材は魚のフライとタルタルソース、ウサギ肉のあぶり焼きと野菜、卵とハムの三種類。


 野菜は別口でサラダも作った。あとデザートにトライフル。いやあ、スポンジのあまりがあったからさ……


 トライフルは器に重ねていくだけなので簡単。そしてこのガラスっぽい器、実は金ぴかドラゴンの鱗だったりする。


 ふっふっふ、誰も気づいていないな。島ドラゴンの鱗より、金ぴかドラゴンの鱗の方が加工しやすいんだよね。


 島ドラゴンの鱗だと、多分器の形に成形出来ないと思う。窓ガラスがせいぜいだと思うよ。


 トライフルのフルーツは、デンセットでも手に入るものにした。ベリー系はあの近辺でも簡単に手に入るらしいし、今の季節は割と品数も多い。


 なので、今日はベリーづくしのトライフルでーす。


「ふむ、こりゃうまいの」

「いつも通り、とてもおいしゅうございます」

「ピイイ」

「ウマウマ」


 じいちゃんは卵とハム、ジデジルは魚のフライとタルタル、ブランシュとノワールはウサギ肉のサンドイッチがお好みらしい。


 私は自分の好みで作っているので、どれも好きー。トライフルも好評だったので、また作ろうっと。

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