第155話 思っていたよりも早かった

 出来上がったパウンドケーキは、なかなかいい出来でした。バターケーキ系は、焼いてから数日おいた方が美味しいんだよねー。


 今日焼いて今日食べたいので、亜空間収納内でちょっといじって、三日程時間をおいた状態にしておいた。


「ふむ、いい味じゃ」

「へへへ」

「ピイイー」

「オイシイヨー」


 じいちゃんにもブランシュ、ノワールにも好評です。……お愛想じゃないよ? 多分。


 今回作ったのはプレーンだから、次はナッツを入れたりドライフルーツを入れてもいいな。チョコが手に入ればそれもおいしい。


 紅茶フレーバーもありだし、コーヒーフレーバーにも挑戦してみようかな。レシピを変えてみるのもいいかも。


 そのうち、マドレーヌ型とかフィナンシェ型とか作ろうかな。型ばなれがいいように、素材も考えて。


 幸い、素材採取には事欠かないからねー。検索先生によれば、コーキアン領内だけでも、知られていない鉱脈とかまだあるみたい。


 ちなみに、焼き型に一番向いているのは虹色鉱石。鉱石の時は綺麗な虹色をしている事から、この名前がついてるんだって。


 これを精製して虹銀という素材にしてから型を作ると、何も塗らなくても型からするっと抜けるそうな。


 さて、お茶の時間を楽しんだ後は、今度はパン作り。これは全ての課程を亜空間収納内で出来るように設定したので、後は素材を入れるだけ。


 今回は普通の食パンを焼いてみる。強力粉とパン種、ミルク、砂糖と塩、バター。


 混ぜてこねて発酵させて成形、二次発酵の後に焼成。形はちゃんと、あの食パンになるように設定済み。


 虹色鉱石を採取してきたら、食パンの型を作るのもいいね。一斤用とか二斤用とか。


 そうなると、そろそろ温度調整が出来るオーブンが欲しいなあ。魔力で代行は出来るけど、なんとなく?


 自動で作るホームベーカリーみたいなのはそれはそれでいいんだ。でも、焼き菓子とか、料理のオーブン焼きとかで使いたいなあって。


 ちょっと、じいちゃんに相談して作ってみようっと。




 亜空間収納内でパンを焼きつつ、畑の様子見と温室の様子見。世話はじいちゃんの土人形に任せっぱなしだけど、順調かなーと思って。


 で、畑を見たら……あれ? 何か、育ち方が変じゃない? 種や苗を植えたのって、ついこの間だよね?


 いくら妖霊樹の肥料を与えてるとはいえ、こんなにすぐに成長するもの? 早くね?


「……まあ、いっか」


 早い事はいい事だ。うん、多分。


 畑がこれって事は、温室も似たような感じかな……


「うわあ……」


 何か、大きな木になってる……砂糖の木か、これ。しかも、もう実がなり始めてる……成長早!


 畑より温室の方が成長早いなあ。もしかして、これもドラゴンの鱗効果?


 試しに、なっている実をいくつか収穫してみる。これ、実を搾ってその汁から砂糖が出来るんだよね。


 じゃあ、亜空間収納で試してみようか。三つ実を入れて搾って精製。時間短縮をして、取り出した砂糖は片手の平に乗る程度。


 多分、大さじ換算で一杯くらいかなー? 実の大きさはグレープフルーツくらいだから、効率はあまりよくないのかな?


 味見した砂糖は、ちょっとえぐみがある感じ。もう少し実が熟せば、味も良くなるかも。


 他にも、いくつか実がなり始めてるフルーツもあって、ちょっと気を抜けない感じかな。


 こっちも世話はじいちゃんの土人形が主なので、様子を映像で知らせてくれるようなオプションを考えておこうっと。

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