第154話 あ、お菓子作ろう
地下室の遊園地制作に行き詰まる。アトラクションの数、あれでは少ないんじゃないかと思って。
でも、じゃあどんなアトラクション作るよ? って辺りで挫折中。
いや、検索先生に頼めば地球の遊園地の情報も見られるけど、せっかくの異世界、こっちの世界特有の乗り物にしたいんだ。
で、どうしたものかと思案中。こっちって、身近な乗り物が馬か馬車なんだよね。あと、身近かどうかはわからないけど、船。
いっそでかい池でも作って、小型の船でも浮かべようかな?
「何を悩んでおるんじゃ?」
「うーん、地下室について。何作ろうか、行き詰まったの」
「そうか」
それだけ言うと、じいちゃんはお替わりしたばかりのコーヒーを飲む。朝食終えたばかりだからね。
ブランシュとノワールは、もう庭で遊び回ってる。体が大きくなって飛距離が増えた二人は、最近何かと砦内を飛び回ってる。
外にも行きたいみたい。でも、まだ二匹だけで外に出すのが心配だから、朝の散歩に加えて夕方の散歩も増やしてるとこ。
そのうち、外敵との戦闘訓練もさせないとな……こうやって、みんな巣立って行くんだね。
まあ、ブランシュに関してはまだ数年余裕があるみたいだけど。
じいちゃんが提供した土人形は領主様に好評で、以前見つけた金鉱脈の方でも使われる事が決まったらしい。
向こうは既に鉱山技師の人があれこれ調査したらしく、いつでも掘れる状態なんだって。
試し掘りの日、領主様のお城でその辺りの話し合いが行われ、ついでに金鉱脈の方の契約も済ませたそうな。
さすが領主様、素早いな。
私の方も、しばらく依頼を受けなくてもいいくらいに、調査結果の上乗せ分を払ってくれたので、ほくほくでーす。
なので、こうして地下室の事に頭を悩ませていられるんだ。でも、本当に何作ろう?
結局煮詰まった頭ではろくな考えが浮かばないので少し違う事をしよう。
「さーて、レシピレシピ」
ずーっと作ろうと思ってなかなか出来なかった、お菓子作り。まあ、北だと砂糖もなかなか手に入らなかったしね。
ほうきで買いに行けばいいんだけど、遠出するには修繕とか盗賊とかあれこれあったし。
でも、別大陸で大量に買い込めたし、砂糖の木も買えたし。だから、簡単なものから作ってみよう。
バターと砂糖と卵と薄力粉。シンプルに四つの材料で作るパウンドケーキ。
バターと砂糖は室温に戻し、薄力粉はふるっておく。柔らかくなったバターをクリーム状になるまで泡立て器で混ぜて、砂糖を加えてしっかり混ざるまでかき回す。
泡立て器、地球で普段使っていた形のものがなかったから、自分で作ったよ。検索先生ありがとう。
素材は護くんを作る時に採取した鉱物を元にしてるので、泡立て器にはあるまじき耐久性だけど、別にいいや。
バターと砂糖が混ざったら、溶いた卵を少しずつ入れて混ぜていく。いきなり入れると分離するからね。ええ、昔やりましたとも……
しっかり混ざったら、薄力粉投入。ここからはへらに持ち替えて、練らないように混ぜていく。
混ざったら、油脂を塗った型に投入。紙を敷いてもいいんだけど、植物性の紙を使おうとしたら、じいちゃんにもの凄い勢いで止められちゃった。
なので、バターを指で塗り塗り。こうしておかないと、型から出す時に生地がくっついちゃうからねー。
さすがに、これはやった事ないよ? 本当だよ?
後はオーブンを百八十度にして三十五分から四十分。こっちのオーブンは自動で温度調整とかしてくれないから、魔法で焼き上げる。
おかげで余熱がいらないのは助かるわー。いきなり調整温度に上がるからね。タイマーも使えるし。
何もない空間でお菓子が焼けていくのはちょっと妙な感じだけど、まあいいや。
次に別の大陸に行く時は、もう少し南の方でバニラがないかどうか調べたいな。
あ、作って温室で栽培すればいいのか。検索先生に問い合わせたところ、OKが出た。これは作っていいものらしい。良かった。
バニラが出来れば、プリンも作れる。あれ、香りがないと味が半減するんだよね。
ええ、これは実際にやった事がありますが、何か?
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