第113話 驚き
さて、場はなにやら私の警護の話になってきました。いや、いらないでしょ、そんなの。
って言ったら、みんなに凄い目で見られた。
「襲撃を受けたというのに、何をのんきな事を言っている!」
「これもそなたとこの領、引いてはこの国の為と心得よ」
「もう少し危機意識を持ちなさい」
銀髪さん、領主様、剣持さんと続いて怒られた。
「サーリ、今回だけはおとなしくしていてくれ」
「そうよ、あなたは女の子なんだから」
フォックさんとローメニカさんも譲るつもりはないらしい。
あのー、忘れてるかもしれませんが、今回のウーズベルの軍人だっけ? を捕まえたのも、私が作った捕獲ポッドなんだけど。
誰が来ようが、こっちに不利益をもたらすような連中には痛い目にあってもらうよ?
という訳で、しっかり主張はしておく。
「お言葉ですけど! 今回の襲撃者だってちゃんと捕まえたし、この間だって大がかりな盗賊団をやっつけたし、魔獣だって複数相手に出来ますよ?」
「相手が搦め手で来た場合、対処出来るのか?」
「え?」
「例えば、言う通りにしなければ、デンセットを攻撃すると言われたり、ここにいるフォックやローメニカが攫われた場合、対処は出来るのか?」
「えー……」
銀髪さんの物言いはちょっとずるい。それに、だったらフォックさんやローメニカさんの警備を増やさなきゃダメじゃん。
大体、何でそんなに偉そうなのよ、この銀髪さんは。
悔しくてちょっと睨んだら、剣持ちさんが何かむっとしてる。ちょっと、剣に手が伸びてるよ?
「落ち着けユーニド。子供相手に本気を出すな」
むか。子供って、私の事よね? 本当にもう、何でこの街の人って私の事を子供扱いするんだろう。
「私、今年で十八歳ですけど!?」
「え!?」
……何で室内の全員が驚いてるのよ?
この世界に神子として召喚されたのが十五歳の時、それから邪神の再封印の旅を約一年。
その後ローデンでヘデックと結婚して二年後の今年、夫に浮気されたので城を出たのだ。だから十八歳。故国でも成人だよ。
私の年齢を聞いた全員、まだ驚きから復帰出来ていない。一体何歳だと思っていたんだろうね。しゃくだから聞かないけど。
「十八? まさか、どう見ても十二歳だろうに」
「陛下、いくらなんでもそれは……」
「私は十四歳くらいだと思っておったよ。いやはや、サーリには本当に驚かされる」
何か、さっき気になるワードが出た気がするんだけど、何でみんなスルーなの? 剣持ちさん、銀髪さんの事「陛下」って言ったよ?
それって、国王とかにつける敬称だよね? って事は……
「……何だ?」
「今、剣持ちさんが、銀髪さんの事を『陛下』って……」
あれ? 剣持ちさんも銀髪さんも変な顔してる。だって、二人の名前は知らないし。
何か、領主様とフォックさんも微妙な顔をしてるよ。あ、ローメニカさんが向こう向いた。でも、肩が震えてるんですけど!
領主様が、咳払いをした。
「そういえば、サーリには教えていなかったな。こちらにおわすのが、我がダガード王国国王、カイド陛下である」
マジでー!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます