第111話 建物増えたー、厄介ごともきたー
襲撃者をフォックさんに丸投げして二日後、砦には新しい建物が四つ建った。
一つはドラゴンの鱗の三層目……ドラゴングラスを使った温室。建てる場所をあれこれ考えたんだけど、なかなか変わった場所に建てた。
まず、丸塔に接する形で同じ円柱形の建物を一つ作る。高さは塔の半分くらい。
用途は特に考えてないけど、倉庫にしてもいいんじゃないかなって。で、その屋上に温室を建てた訳。
大きな円を中心に、小さな円を四つくっつけたようなデザイン。天井は二段のドームで、外から見ると円柱倉庫の上部がガラスで出来てるみたい。
支柱とかは、窓枠と同じドラゴン素材。鱗をたくさんもらえたからこそ、出来る事だ。
今のところ温室の中は空っぽ。これから色々育ててみようと思う。
「それにしても、こんな温室やら畑やら作って、世話は出来るのかのう?」
「大丈夫! 検索先生と魔法があれば!」
「そうか……」
何でだろう? じいちゃんが呆れた目でこっちを見てるんだけど。
あ、じいちゃんの研究室もちゃんと作るよ? そう言ったら何か首を横に振られて溜息吐かれたんだけど? 何でー?
新しい建物の残り三つ……倉庫は温室と一緒に一つと数えてるから、残りは三つなの。
で、一つは厩舎。別にノワールをここに一頭で置いておくつもりはないけど、じいちゃんが土人形の馬を作るから、その置き場にいいかなって。
それに、この先何か増えないとも限らないし……
三つ目は、四角い塔に接する形で作った、来客用の宿泊施設。まあ、こんな場所に誰が来るんだって思うけど、万が一の為に……ね。
四つ目は第三区域に作った作業小屋。農機具とか入れておこうと思ったから、これだけは木造。といっても、妖霊樹を使ってるけど。
今は入れるものがないので、迎撃システムの入れ替え場所になってる。
周囲の魔力を取り込んで充填出来るシステムも作っておいてあるので、魔力切れになったら、勝手にここに来て充填していくようにした。
さあ、次は何を作ろう。その前に壁を全部修繕しないとなあ、とか考えてたら、デンセットからローメニカさんがやってきた。
何か、慌ててるよ?
「サーリ! 今すぐデンセットまで来て! ジンド様もいらっしゃってるから!」
「へ?」
何で領主様? もしかして、金鉱脈の関係? それとも山に作る予定の別荘の話かな?
首を傾げつつ、ローメニカさんが乗ってきた小型の馬車に乗せられて、デンセットへ。
あっという間に組合に到着したら、そのままローメニカさんに引っ張られる形で組合長室へ連れて行かれた。
部屋には、既に領主様とあの剣持ちさん、それに銀髪さんもいる。みんな固い表情で、フォックさんも眉間に皺が寄っていた。
「連れてきました!」
「ご苦労」
ローメニカさんを労ったのは、領主様だ。
「サーリよ、つい二日前に賊を捕まえたと聞いたが?」
「はい。砦に仕掛けておいた……罠に引っかかってました」
「ふむ。それは間違いないのだな?」
「間違いないです。罠は砦に侵入する者を捕まえる為に仕掛けましたから」
本当は、迎撃システムの一つなんだけど、ここで言うとまたいらない騒動になりそうだから、黙っておく。
でも、あの不法侵入者達がどうかしたのかな? 自分達は無実だとでも訴えてるんだろうか?
そんな事を考えていたら、想像の斜め上な事を領主様から告げられた。
「あの者達は、皆隣の領主軍の軍人なのだよ」
「ほへ?」
いや、意外すぎて変な声も出るって。
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