第108話 宝の山
亜空間収納から取り出した果実は、小山のようになっている。それを前にして、ドラゴンはとっても嬉しそうだ。
「この奥って……おお」
ドラゴンの背後には、奥に続くトンネルがあって、その奥にはもう一つ空間があった。
そこにはうずたかく積み上げられた金塊や宝石、アクセサリーなど。これは凄いや。
で、空間の隅っこの方に穴が開いていて、その中に爪やら牙やら鱗やらがあった。これ、言って見ればゴミ箱?
「ドラゴンのゴミが素材かー」
「まあ、そんなもんじゃな」
好きに持って行けという言葉に甘えて、穴の中のものは全部亜空間収納に入れた。あ、この穴結構深いわ……
目当ての鱗に、追加で牙と爪まで手に入るとは。検索先生を通してさっき収納したばかりのドラゴン素材の数を見て、思わず笑っちゃった。
鱗だけで一万枚超えてるよ。爪とか牙も結構な数だわ。いやー、これは窓作り放題だね。
「何じゃ、このお宝はそのままにしておくのか?」
「えー? だってそれ、ドラゴンが集めた宝物でしょう? 何か手を出すのはなあ……」
宝石や金塊も、ここまでの量になるとかえって現実味がなくなるというか、あんまりありがたく感じないんだよね。
それに、お金の方は現状それなりに稼げているから、これ以上はいらないとは言わないけど、そこまで執着はしていない。
砦の修繕も、結局素材は殆ど自分でかき集めているから、費用がかかってないし。
おかしいなあ? 本当はもっとデンセットにお金を落とす予定だったんだけど。
「素材がたくさん手に入っただけでも、よしとしとこうよ」
「そうじゃな」
鱗はもちろん、牙も爪もいい素材になるっていうしね。検索先生ありがとう。
ちなみに、鱗は既に亜空間収納内で処理中。三層構造の鱗の、一番外側は砕いて剥がし、二層目は薄く削ぐように剥がす。
残った三層目がガラスのように透明になっている部分。でもガラスより丈夫で、下位種ドラゴンの爪攻撃を受けてもびくともしないんだとか。
いやあ、砦の窓にはぴったりの素材だよ。
「にしても、鱗がたくさんあるから、建物に窓をたくさん作れるー」
「そんなに窓ばかり作って、どうするんじゃ?」
「窓が多い建物って、明るくていいじゃない」
窓ないと、息苦しい部屋になるよね。でも、じいちゃんは呆れてるよ。
そうだ、これで温室も作れるんじゃない? 骨組みはこれまでに手に入れた素材で何とかなりそうだし。
温室でなら、南の植物も育てられるんじゃないかな。スパイスとかコーヒーとか。あと、あったらカカオ。バナナもいいなあ。
カカオはまだ見つけてないんだよね。いっそ、創り出しちゃう? 他にも味噌とか醤油とかも欲しいし。
砦に帰って修繕が終わったら、やる事一杯だね。
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