第103話 食事会!
盛りだくさんのゴンドラ完成見学ツアーは終了。あとはこのでかいのを、あのちっさいロッカーに入れるだけか。
「上の入り口とあの扉を連結すれば、問題ないじゃろ」
違う問題は山盛りな気がするけどねー。じいちゃんじゃないけど、これも余所様には見せられないものだと思うよ?
じとっとした視線で見ていたら、じいちゃんも気づいたのかばつが悪そうな顔をしていた。
枕か枕の中身の羽毛を買って、カーテンを作ってカーペットを作って。忙しいなあ。まあ、全部亜空間収納の中で作るけど。
カーテンはコットンがいいなあと思っていたら、いい素材があるそうな。白魔綿。……随分な字面だね。
魔力を帯びた白い綿で、妖霊樹の近くに群生する習性があるそうな。それを採取してくれば、木綿糸も作れるってさ。
ならば、行くしかあるまい。検索先生曰く、以前採取した妖霊樹もそろそろ復活しているだろう、だそうな。え? もう?
「何じゃ? 驚いた顔をして」
「いやあ、今検索先生に教えてもらったんだけど、妖霊樹がもう復活しているらしいんだー」
「なんと」
やっぱり、じいちゃんも驚くよねえ? あ、追加で検索先生から情報がきた。
なんでも、あの谷は魔力がこもりやすい場所で、魔獣も豊富にいるらしいよ。餌がたくさんあるから、妖霊樹も繁殖しやすいって事かな。
その下で、おこぼれをもらう白魔綿も育ちやすい、と。え? 綿が魔獣食べるの? あ、妖霊樹の魔力を栄養分にするのか……良かった。
んでは、明日は朝の散歩から妖霊樹狩りへ。その後デンセットで羽毛か羽根枕の購入を。
その次の日は、食事会じゃん。早いなあ。
追加素材を採取に行き、またしても妖霊樹狩りに精を出し、白魔綿も大量ゲットした翌日、夕方からはデンセットでの食事会でーす。
即席で作った壇上で、フォックさんがでっかい木製ジョッキを掲げて大声を張り上げる。
「みんなー! 用意はいいかー!?」
「おおおおおおおお!!」
「では、乾杯!!」
歓声と共に、あちこちでジョッキ同士がぶつかり合った。そのついでのように、野太い声があちこちから。みんな、元気だなあ。
食事会の場所は、何と砦の前庭。何でー? そりゃゴンドラは出来上がったから、既に亜空間収納に入れてあって問題ないけどさー。
ローメニカさんに聞いたら、「これだけの人数が集まれる場所、デンセットにはないんです」っていい笑顔で言われちゃった……
朝から食材やら網やらでかい鍋やらが持ち込まれ、あちこちで簡易の竈が設置されるのを眺めつつ、夕方まで過ごしてたよ。
ついでに竈に手を入れて、料理人さん達に喜ばれました。大きめの石窯も作って、パンを焼いてもらったわー。
これいいな。砦の修繕が終わったら本格的にパンも焼きたいから、石窯は残しておこう。ピザも焼けるって検索先生が言ってるし。
そして準備が整った夕方。街からぞろぞろと人がやってきた。おお、すごい数。そりゃ大量の肉やら魚やら魚介類が必要になる訳だ。
ちゃんとあの騒動に関わった人だけに話がいくよう、ローメニカさんが手配してくれていたので、関係ない人が紛れ込む事はないみたい。
ここまで来たら、誤差の範囲だし少しなら紛れてもいいと思うけどね。でもそうすると、街中の人が来ちゃうからダメなんだって。そりゃ大変だ。
みんな思い思いに料理を食べ酒を飲み楽しんでる。男性だけでなく、女性もちらほらいた。
そして料理がおいしい。スパイスは高価なのであまり使えないそうだけど、その分この辺りは香草が多くあるので、それをうまく使うんだってさ。
ちなみに、料理番や酒樽の前で注いでいるのはみんな男性。
何でも、竈と酒は女神様の領分だそうで、こういった大人数の場合は男性をおいておかないと、女神様が不機嫌になっちゃうんだって。
元……あ、いや、今も神子だけど、初めて聞いたよ。というか、神様の存在、感じた事なんてなかったわー。
それでいいのか神子。いいんだろうな、多分。だって、まだ神罰とか下った事ないもん。
神子ユーリカこと冒険者サーリは、このままで行くのだ。
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