第100話 ローメニカさん、改めてよろしく!
無事建築許可ももらえたし、報告も終わった。頃合いを見て、山には技師を派遣する事になるんだって。
彼等の調査が終わるまで、温泉はお預けかなあ。その前に、ドラゴンのところにいって、鱗や牙をもらってこなきゃ。
なんかね、上位種の牙は、下位種の骨よりも丈夫なコンクリートが作れるらしいよ?
そろそろじいちゃんのゴンドラ作成も終わるだろうし、浮力の問題も解決したし、後は食材や料理を買い込んでお空の旅だ!
あ、その前に、ローメニカさんに食事会の確認をしておかないと。
という訳で、砦を通り越してデンセットまでフォックさんと馬車で戻ってきました。
「ローメニカに用とはなあ」
「ほら、前に提案していた食事会。あれ、彼女に丸投げしてたから、その後どうなったかと思って」
「ああ、あれか。なかなか全員の予定を合わせるのが難しいとぼやいていたぞ」
あー、やっぱりー。面倒なのって、その辺りだよねー。
馬車のままデンセットに入り、組合の前で降りる。すぐに、中からローメニカさんが出てきた。
「お帰りなさい、組合長。あら、サーリは砦に戻らなかったの?」
「お前さんに話があるんだと」
「あら、何かしら。まあ、立ち話も何ですし、中に入りましょうか」
促されていつものように、組合長室へ。何だかなあ。ここに来たらまずこの部屋に通されるのが、当たり前になりつつある感じ。
「で? 私に何の用かしら?」
いつも通りソファに座るのは同じだけど、今目の前の席にはローメニカさんが座っている。フォックさんは執務机の方。
「前にお願いした、食事会の件です」
「ああ、あれね。なかなか予定が揃わなくて……」
「いっそ、二回やりませんか?」
「え? 二回?」
ローメニカさんが驚いてる。まあ、そうだよね。ただ飯食わせるのを二回もやるなんて、普通は言い出さないだろう。
でも! 今の私は普通ではないのだよ!
「ええ、この日だけって限定するとなかなかうまく行かないけど、二日間、日を開けてなら何とかならないかなあって。あ、参加はどちらか一方だけですよ。名簿作って管理すれば、いけると思います」
「でも……そうすると、余計にお金がかかるんじゃない?」
「大丈夫です」
何せ、石材分が浮いちゃったからね……
よく考えたら、自分で切り出してただで手に入れちゃったら、地元にお金を落とすって目的がダメになる。もうちっと考えろよ、自分。
その辺りの埋め合わせも兼ねて、食事会を二回開催でスケジュール調整がどうにかならないかなーと思ったんだ。
まあ、本音はドラゴンのところに早く行きたいから、いつまでも開催されないままなのは困るのよ。
一応主催なので、出席しない訳にもいかないし。お金払う必要があるからね。
私の提案に、ローメニカさんが迷っている。そこに、フォックさんから助け船が出た。
「いいじゃないか、サーリ自身がいいと言ってるんだから」
「ですが……」
納得いかないらしく、渋るローメニカさん。多分、まだ若い私にあまりお金を出させたくないんだろうなあ。
でも、ローメニカさんも盗賊の件で私がいくらもらったか、知ってるはずなのに。
これから先、一生遊んで暮らせる程ではないけど、少なくともこの街中の人を招待して食事会したところでびくともしないくらいはあるよ?
見た事もない人にまで奢る気がないから、やらないけど。
考え込むローメニカさんを飛び越して、フォックさんが私に確認してきた。
「サーリ、当初予定していた予算の倍額になっても大丈夫か?」
「大丈夫! 報償金たくさんもらったから!」
「だよなあ。て訳でローメニカ、後は頼む」
さすがにここまで言われては、ローメニカさんも承諾しない訳にはいかなかったらしい。渋々だけど了承してくれた。
よし、これで一つクリアしたぞ。後は戻って修繕の続きだ!
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