第93話 作業の続き

 ほくほくで砦に戻って、早速料理……の前に、亜空間収納にてドラゴンコンクリートを作る。


 と言っても、集めた材料を混ぜるだけなんだけど、何だか寝かせる時間も必要らしいよ。何かの生地?


 とりあえず、ほったらかしでいいので、収納内で早速作る。あ、飛びウサギの解体もしておこうっと。


 収納内で全部終わるので、大変便利。これも以前の旅の途中で作ったんだよなあ。あの時は、じいちゃんが私をそそのかしたんだっけ。


「ん? 何じゃ?」

「何でもなーい」


 じいちゃんは、割と私を便利に使ってくるところがある。でも、それと同じかそれ以上に、私がじいちゃんにしてもらう事が多いから、いいんだ。


 さて、じゃあ残りの壁の修繕、やっちゃおうか!


 と思ったんだけど、二匹が私の服の裾を引いてくる。


「うん? どうしたの?」

「ピイピイィィィ」

「オ腹、空イター」


 ああ、もうお昼回ってたっけ。気がついたら、私のお腹もグーと鳴った。


 じいちゃんにも声をかけて、とりあえず間に合わせで食べる。そういや、そろそろ日本風のパンが食べたいなあ。


 まだ日本にいた頃、おばあちゃんの指導の下パン作りをした事がある。生地をこねるの、楽しかったなあ。


 でも、あの時はインスタントドライイーストを使ったんだよね。こっちには当然ないから、自家製酵母を作る以外にない。


 ってか、作れるのか? とりあえず、検索先生に相談!


 結果、作れるそうです。しかも、あの神馬が大好きな果実を使うと、いい酵母が取れるそうな。マジかー。


 ドラゴンのところ行って、帰ってきたら果実を取りにいこう。それで、自家製酵母を作ってパンを焼くのだ!


 ……いつになるんだろうね?




 食後は少し食休みしてから、作業再開! 最近日が短くなってるから、作業時間が少なくなってる感じ。


 いや、魔法で明かりを出してやればいいんだろうけど、そうするとまたフォックさんに怒られそうでさ……


 明かり、絶対街からも見えるからね。結界張ればいいのかな。いや、そこまでして作業するのもなあ……でも修繕、早く進めたいし。悩む。


 そんな事を考えつつ、魔法の手は緩めません。石材のある限り、石積みをやるよー!


 でもそろそろ、底付きそうなんだけどなー。もうこれは、毎日石切場へ買いにいくしかないのか? 翌日の分も注文しておけばいいのかね?


 まあ、その辺りは明日現場に行って、責任者に聞いてこよう。今は目の前の作業作業。




 結局、時間切れの前に資材切れが先に来ました……本当、石切場で好きに切り出させてくれよ。費用なら払うから。


 収納の中のドラゴンコンクリートはいい感じ。このまま熟成を重ねます。そうすると何が起こるか。


 硬化魔法をかけたような結果が得られるんだって。ドラゴンの骨自体、滅多に出回らない素材だし、使える人が少ないからあんまり知られていないらしい。


 検索先生、ありがとう。おかげでいいコンクリートになりそうです。


 それが嬉しくて、夕飯時にじいちゃんに報告したら、何だか微妙な表情になってるんだけど、どうして?


「お主、一体何と戦う気なんじゃ?」

「え? 戦わないよ? 襲撃でもしてこない限り」

「お主とこの砦に戦争を仕掛ける馬鹿者が、いない事を祈っておるよ」


 前に盗賊団が襲撃してきたけどね。それは言わないでおく。また何か説教されそうな気配を感じたから。


 あの盗賊団は潰したし、残党もいない。悪い連中だったから、街からも領主様からも感謝されたから、いいんだ。

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