第81話 もこもこは正義
朝から妖霊樹狩りに出ていたので、終わった頃は丁度お昼。砦に戻ってお昼ご飯だ。
本日は先日作ったウサギのシチューをリメイクしたパングラタン。
単純に、深めの皿にバター塗ってパンを敷いて、その上からシチューの残り、更にチーズを乗せてオーブンっぽい魔法で焼いたもの。
うん、砦にはまだキッチンがないからね。さすがにテントには作ってないし。大抵は魔法で代用出来るので、まーいっかー。
簡単なものだけど、じいちゃんもブランシュもノワールも喜んでくれた。
ただ、熱いので口の中を火傷していたけど。神子は回復魔法も得意なので、問題なし。
後片付けが面倒だったので、これも魔法で食洗機もどきを作って洗浄乾燥中。終わるまで、膝の上でくつろぐ幻獣達をモフっておく。
すねてた二匹も機嫌が直ったからね。幻獣の温かみを堪能していたら、じいちゃんに生温い目で見られてしまった。何でー?
じいちゃんからの話と、検索先生からの情報でコビト羊のいる場所がわかった。なんと、あの石切場のすぐ近くだよ。知らなかったわー。
なので今日中に行って帰ってこようという事になった。
到着した山は、本当に上の方が一部なだらかになってる。そこに、何だかもこもこした生き物がたくさんいた。
「あれが、コビト羊?」
上から見ているせいか、本当に小さい。とりあえず、下りてみようか。
下りて間近で見ても、やっぱり小さい! 可愛いなあ、このもこもこ。メーって鳴いてるー。
でも、こっちを警戒しているのか、臨戦態勢なんだけど!? 一応、防御用の結界は張ったから、どんな攻撃がきても大丈夫だと思う。
隣から、じいちゃんがのんびり聞いてきた。
「で? どれだけ狩るんじゃ?」
「狩るというか、刈る、かな?」
そう、必要なのは羊毛なので、毛を刈るだけで本体は狩らない。とりあえず、魔法を使って土で柵を作り、コビト羊をひとまとめに。
メーメー騒いでいるけど、コビト羊も何が起こるのかわからないらしく、所々で柵に攻撃しているみたい。
でも大丈夫! 私の作る柵は物理攻撃耐性も魔法攻撃耐性もあるから!
コビト羊の主な攻撃方法は、電撃なんだって。あのモコモコの羊毛で静電気を発生させるらしい。
ちなみに、羊系の魔獣の多くは、この電撃が攻撃の中心。角羊はこれに突進が加わるそうだよ。
とりあえず、コビト羊が混乱しているから、一度沈静の魔法をかけて落ち着かせよう。んで、柵から一頭ずつ出して魔法で毛を刈る、刈る、刈る!
羊自体がちっちゃいから、一頭から取れる毛が本当に少ない。これ、加工したらもっと少なくなるから、多めに取りたいところなんだけど……
「何とか、なるかな?」
以外と頭数いるんだよね、コビト羊。沈静魔法の効果か、今はおとなしいし。
と思って見ていたら、何か柵の中で自発的に並んでるよ? まるで毛刈りの順番を整列して待ってるみたい。どういう事?
教えて! 検索先生!!
「ふんふん、何々? コビト羊は毛が長くなりすぎると、熱中症を起こして最悪命を落とす事もある?」
え? マジで? じゃあ、普段はどうしてるの? あ。続きがあった。
「えーと、昆虫系の魔獣であるラージコックが羊毛のみを食べるので、共生関係にある……ん? ラージコック?」
何だろう……嫌な響きだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます