第79話 必要な素材

 そのまま素材を採りに出ようと思ったら、じいちゃんから待ったがかかった。


「どこに何の素材があるか、ちゃんとわかっておるんじゃろうな?」

「えーと、そこらは検索先生にお任せで」

「お主にはそれがあったな……では、何が必要かも、わかっているんじゃな?」


 ぎく。単純に、検索先生で調べた素材、片っ端から取ってこようと思ってたわ……

 こういうところが、じいちゃんに大雑把だって怒られるんだよね。


 そのじいちゃんはといえば、私が何を考えていたかはもうお察しらしい。深い深ーい溜息を吐かれた。


「お主の能力はそりゃあたいしたもんじゃ。じゃがの、その能力を正しく使う努力くらいしても、罰は当たらんぞい?」

「う……はい」


 結局、じいちゃん監修の元、必要な素材を書き出してから検索先生を使い、在処を探す事になった。


「えーと、まず木材でしょ、それとスライム、それから……」


 木材は建材として、スライムは接着剤代わり、釘用の鉄も必要かなあ。


 私が書き出したリストに、じいちゃんがあれこれ足していく。

「仕上げように樹脂も必要じゃろう。それと羊毛。これは角羊あたりが妥当じゃな」

「えー? コビト羊の方がいい毛が取れるじゃない」

「角羊の方が、一頭から取れる毛の量が多いじゃろうが」

「上質な方がいいですー。って事で、コビト羊の羊毛っと」


 角羊は巻いた角ではなく、鋭角な角を持った羊だ。大きさが牛程もあって、取れる羊毛の量は普通の羊の四倍近い。


 見た目もすっごいもこもこで可愛いんだけど、割とエグい魔法を使ったり、鋭い角で刺してくる厄介な魔獣だ。


 コビト羊は小型犬くらいの大きさで、臆病な魔獣。これまた雷系の魔法を多用する魔獣なんだけど、対策さえしっかりしておけば問題ない。


 コビト羊は小さいから、一頭から取れる毛の量が凄く少ない。こっちは普通の羊の三分の一以下。


 でも、その分毛の質が良くて、最高級品だってさ。コビト羊の羊毛を使った布団とか、普通に王侯貴族が使うものらしいよ。


 どっちもまだ家畜化はされていないので、毛や肉が欲しい場合は野生のものを狩ってくるしかない。


 という訳で、私も自力で狩ってくるのだ!




 検索先生によれば、建材として質がいい木材は、妖霊樹と言われる樹木型の魔獣らしい。


 ……植物なのに、魔「獣」?


 ま、まあ、魔獣という言葉そのものに、「魔生物」という意味があるそうだから、植物でも魔獣と呼んで差し支え……ない?


 うーん。


「何を唸っておるんじゃ」

「え? いやー、植物を魔獣と呼ぶ事の違和感について……」

「相も変わらず、おかしな事を気にする奴よのお。ほれ、それより急がんかい。もたもたしておったら、日が暮れてしまうぞ」

「あ、そうだった」


 今日は妖霊樹とコビト羊とスライムを狩らなきゃ行けないんだった。樹脂も、妖霊樹を倒すと手に入るらしい。


 でも、樹脂と木材とで結構な数を狩らないといけないんだって。植物だから、使う魔法も考えないと。


 さー、忙しくなってきたぞー。

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