第74話 ドラゴンの住む島

 さて、素材欲しさにドラゴンと交渉するってのはいいとして、肝心のドラゴン、どこにいるのよ?


「我の知るドラゴンは、ここから遙か南の島にいる」

「南? どのくらい南?」


 リゾートっぽい島にいるとか? ちょっとイメージ湧かないなあ……


 でも、神馬の返答は予想外のものだった。


「南の大陸からさらに南、氷と火の山がある島だ」

「氷と火の山って……火山島って事かな」


 氷があるなら、寒い場所だね。南極とか? いや、この世界に南極北極があるのかどうかさえ知らないけど。


「詳しい場所は、これを頼りにするといい」


 そう言うと、神馬は首を震わせた。そしたら、ちゃりんと音がして、何やら地面に落ちてる。


 何だ? これ。


「……鈴?」


 ベル状の……あれだ、南部鉄器の風鈴、あれっぽい。ちょっと振ったけど、音は出なかった。


「島に近づけば、音が鳴る」

「へー」


 いわゆる、魔導具ってやつかな? くれるというので、ありがたくもらっておく事にした。


「ありがとう! 神馬」

「……」


 お礼を言ったら、神馬が無言で首を向けてきた。これは、前回のように撫でろという事かな?


 たてがみを中心に、さらりと撫でていく。いやー、神馬のたてがみって本当、手触りいいわー。


「ノワールモー」

 あ、ノワールのたてがみもいい感じだよ? それにまだちっちゃいから撫でやすいし。


「ピイィィィ」


 うん、ブランシュもだね。君は全体的にふわふわしてて気持ちいい。


 背中の辺りをすーっと撫でると、ブランシュも気持ちよくて、撫でた私の手も気持ちいい。


 しばらくたてがみを撫でていたら満足したらしく、神馬は空へと駆け上がっていった。


「ドラゴン、南にいるって」

「そのようじゃの。本気で行くんか?」

「もちろん! 窓にガラス、欲しいじゃない?」


 いや、ドラゴン素材だとガラスじゃないとは思うけど。でも、頑丈なガラス、欲しい。


 今日はもうノワール達と空の散歩をして、後は迎撃システムの量産だけで終わりにしよう。


 あ、ノワールが飛べるようになってから、朝か夕方に一緒に飛んでるんだ。


 ブランシュはまだちょっと飛ぶというよりは浮く程度なので、私と一緒にほうきで飛んでる。


 南の島に行く準備もしなきゃいけないし、断熱材用のスライムも狩ってこなきゃならないし、しばらくは忙しくなりそう。


 あ、石材、今の手持ち分で足りるかな……石切場で追加で買ってこようかなあ。


 それとも、じいちゃんが何やら言っていた、ドラゴン素材の建材に挑戦してみてもいい。


 下位種のドラゴンの骨でも、何かを混ぜればいけそうだし。うまくすれば、コンクリートみたいになるかも?


 石灰石があるんだから、普通にコンクリートは作れるのかな? 何だっけ? 古代コンクリートだっけ。


 うーん、建材はまだまだ必要だから、あれこれ試してみるのも手かなあ。

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