第69話 修繕計画

 ノワールの当面の問題も消え、やっと本腰入れて砦を修繕出来るようになりました!


「サーリよ、ちょいと相談があるんじゃが」

「何ー?」

「わしも、ここに住んでいいかのう?」

「え? どっか行っちゃうつもりだったの?」


 じいちゃんがここに来た時から、一緒に住むつもりでいたんだけど。そう言ったら、じいちゃんは気が抜けたようになってた。


「いやー、良かったわい」

「第一、私がじいちゃんを追い出す訳ないでしょうが」

「それはそれ、これはこれじゃよ」


 よくわかんない。


 とりあえず、塔にじいちゃんの部屋を作るか聞いたら、首を振られてしまった。


「端の方に小屋でも建てさせてくれればええ」

「えー?」


 今は私のテントのすぐ側にじいちゃんのテントを建てて寝泊まりしている状態。あのテント、再封印の旅の時に私があれこれいじったヤツなんだ。


 不満そうな私に、じいちゃんが深ーい溜息を吐いた。


「……お主は少し、自分の性別というものを自覚した方がいいぞい」

「自分が女だってのは、嫌って程知ってるよ。じいちゃんってば、もうボケたの?」

「誰がボケたじゃ!!」


 あれこれやり合った結果、じいちゃん専用の実験室を別で建てる事に決まった。私室は塔の中ね。粘り勝ち、イエー。


 で、どんな実験室がいいかをただいま検討中。


「火を使うなら、石造りの方が安心かなあ」

「頑丈さにはこだわりたいのお」

「だとすると、普通の石材だと強度が問題?」

「強化の魔法をかけておけばいけんじゃないかい?」


 うーん。石切場で大量に石材を買い込んできたから、これで作ろうと思ったけど、正直検索先生のはじき出した必要量にはまだまだ足りないんだよね。


 なので、先に住居部分の修繕を行って、外壁やその他の修繕は建材を買い足してやろうと思ってたんだけど……


 じいちゃんの実験室を頑丈にするなら、別の素材を考えた方がいいかな。


「石材に変わる建材として、堅くて燃えにくいものってなんだろう?」

「一番はドラゴンの骨じゃな。ただし、加工がしにくいという面もある」

「ドラゴンかあ……あ、再封印の旅の時に倒したやつが、丸ごと亜空間収納にあるけど、あれでどう?」

「あれはドラゴンの中でも最下位に属する下位種じゃ。じゃが、待てよ。あれをこれしてそれすれば……ふうむ」


 あ、じいちゃんが考え込んじゃった。こうなったじいちゃんは、こっちの声も聞こえない状態になるんだよね……


 仕方ないから、しばらく放っておこう。


 その間、改めて検索先生に手持ちの石材でどこまで修繕出来るか聞いてみよう。


 お願い、検索先生!


 結果、塔に少し足りないくらいだったわ。その代わり、別の建物なら修繕可能と出た。


 じゃあ、手持ちの建材はもちっと小さい建物に流用するかな。一人で住むと思った砦も、ブランシュが来てノワールが来て、じいちゃんも来た。


 これから先も、思いもかけない存在が一緒に住む事になるかもしれないし。その為の準備はしておいてもいいかも。


 あ、でもあんまり大きな存在はその時に対応しようっと。今は人間かそれより小さい存在を考えておく、でいいや。

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