第64話 迎撃システムを作るよ

 神馬用の果実の上に結界を張り、雨や風、埃なんかだけをよけるようにしておく。


 さて、私は迎撃システムの構築だ。


「うーん、固定よりは浮遊にした方がいいかー。その分魔力は食うけど、ここなら問題ないだろうし」


 北ラウェニア大陸は、北に行けば行く程大気に含まれる魔力が豊富だ。多分、魔大陸の影響なんだと思う。


 魔大陸からは、魔物の瘴気も多く流れてきていたけど、魔大陸そのものが魔力が豊富な土地なので、その魔力も流れてきてるんだと思う。


 実際、ダガードはローデンに比べて大気中の魔力が三倍から四倍だ。


 という訳で、その豊富な魔力を自動吸収してエネルギー源にしようという訳だ。


「吸収用の術式と、魔力を貯めておくバッテリー部分……こんな感じかな。それと、カメラ機能を持ったもの、捕獲機能、攻撃機能……あ、防御機能も」


 浮遊するボール形状のものに、一種類ずつ機能を設定していく。この方が、作りやすいから。


 複数術式を入れようとすると、術式そのものが複雑になって面倒になるんだよね。


 なので、単機能のものを採用。必要魔力も少なくなるから、省エネって事で。


 素材はノワールを見つけた山で大量に取ってきたから、しばらくは大丈夫……の、はず。


 あの山、多分人に知られていない穴場だな。領地の境がどの辺りかわからないから、あそこがコーキアン領なのかどうかもわかってないけど。


 もしコーキアン領なら、宝の山だと思う。だって、希少な素材の宝庫だから。


 今まで手が入っていなかったのも、人手不足か資金不足で調査出来なかったからじゃないかなあ。


 ああいう山って、一見しただけじゃどんな素材があるかわからないからね。調べるには、それなりの腕を持った魔法士が必要だし。


「あー、そういや北は魔法士不足だっけ……」 


 こりゃ人手不足の方だな。


 とりあえず、試作品って事でそれぞれ一機ずつ作ってみた。作動させると、ふよふよと浮いている。


「よし、ここまでは大丈夫。さて……」


 攻撃系はこっちの指示通りに攻撃するかどうかを見ればいいけど、防御系と捕縛系はどうしようかな……


「カメラは、モニタどうしよう……間に合わせだけど、タブレットタイプにしておくか」


 亜空間収納から、タブレット状の水晶を取り出す。これは、邪神再封印の旅の途中で作ったもの。


 これもじいちゃんから人前で出すなって言われたっけ。


 一回ヘデックに見つかったけど、起動していない状態だったから、故郷の品を見よう見まねで作った模型だ、で通したなあ。


 あの旅は、きつくて苦しかったけど、楽しかった。邪神の影響に苦しんでいる人達の前では、絶対言えないけどね。


 ちょっとしんみりしちゃった。さて、続き続き。


 タブレットとカメラ型機器を魔力で繋いで、カメラが写した映像をタブレットで見られるようにする。よし、こんな感じかな。


「お? おおー」


 カメラ機器を浮遊させて、ちょっと高い場所まで飛ばすと、ドローン映像をタブレットで見るような感じになる。うん、いいね。


 面白くてしばらくカメラを飛ばしていたら、じいちゃんの悲鳴が聞こえた。


「な、何じゃこらああ!?」


 あ、いけね。じいちゃんに説明しておくの、忘れてた。

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