第53話 みんなで朝ご飯

 砦で迎える朝。今日もまた、二匹にたたき起こされました。


「ピイー!」

「ノワール、オ腹空イタ」


 はいはい。お腹空かせた子供には勝てませんて。今朝の朝食はちょっと手を入れてフレンチトーストもどき。


 普通、フレンチトーストって甘い味付けをするんだけど、自分で作る時だけはこれが苦手なんだよね。


 なので、自分で作るフレンチトーストの場合は塩こしょうで味付け。


「まずは卵液ー。これに塩とこしょうを適量入れてー」


 フライパンにバターを溶かすから、塩は気持ち少なめ。塩分の取り過ぎはいけません。


 卵液に固めのパンを切って浸し、温めたフライパンにバターを焦がさないように溶かして、漬けたパンを焼く。


 ふふーん、バターのいい匂いー。


「ピイピイ」

「オイシソウ」

「もうちょっと待ってねー」


 フレンチトーストは手早く出来るのもいいね。卵に火が通ればいいから、焼き加減を見つつ皿にのせる。


 まずはブランシュとノワールに。二匹とも、おいしそうに食べてる。飲み物はミルク。冷たく冷やしてあるから、飲みやすいでしょ。


 さて、お次は私の分。フライパンが大きいから、いっぺんにたくさん焼けるのがいいなあ。


 火加減は魔法頼りなので、問題なし。あ、コンロ……というか、竈も即席で魔法で作った。崩れた石材のリサイクルなので、元手タダです。


 さて、私の分も出来上がり。甘いやつならここにメープルシロップをかけるところだけど、これは塩こしょうの甘くないやつなので、このまま。


 うん、いつも通りおいしい。パンも固めのやつだから崩れてないし。フレンチトーストにするなら、地元のパンの方がいいね。


 朝食の後、少し食休みして、改めて砦を見て回る。ここを元のような姿に戻すか、それとも全く別の形にするか、ちょっと悩み中。


 元の姿は魔法で確認したから、やろうと思えば出来る。そのついでに、自分の望む機能を盛り込んでいけばいいんだし。


 別物にするのも手。ここは防衛の為の施設だから、全体に無骨なんだよなあ。


 さすがに貴族の城のようなものを作る気はないけど、もうちょっとこう、しゃれっ気というかね、欲しいなあと。


 しばらく悩み、決まった。自分にセンスはないから、見本となるものがある方がいい。


「だったら、元の姿に戻す、がいいでしょ」


 完全に元の姿に戻す訳じゃないけど、建物の形や配置なんかは前のままでいこう。外観は漆喰を塗るから、イメージは大分変わると思うし。


 決まったら、後は早い。建材を用意して、魔法で修繕を行っていく。


「あ、そういえば、石材取ってくるの、忘れてた」


 漆喰用の石灰石は、ノワールを見つけた山で採取済み。石切場も作業が再開されたっていうし、デンセットで建材を注文してこようか。


 迎撃システムの構築も必要だけど、それは帰ってからでもいいや。今のところ、結界で何とかなってるし。


 たくさんお金が手に入ったので、地元の街で使うよー。お金って、使わないと回らないって、おばあちゃんが言っていたから。

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