第46話 見ぃつけた
奥に捕らえられていた女性達と、彼女達の見張り役の盗賊達も回収して、これでこのアジトには誰もいない。
車と檻は土人形に押させてアジトの外へ。私は取りこぼしがないかどうかを確認しつつ、アジトの内部を探索中。
お? ここだけ扉があって鍵がかけられている。古いタイプの南京錠っぽい。大事なものが隠されている予感。
鍵は簡単に壊せた。ビバ魔法。罠があった場合を考えて、慎重に扉を開ける。
「うほ! やったね!!」
その向こうには、岩壁をくりぬいただけの簡素な空間に、布やら宝石やら金貨やら壺やら。いわゆるお宝があった。
中に入って確認すると、おお、結構貯め込んでいたね。そういえば、こいつら有名な盗賊団だとか言っていたっけ……
それにしても、何でこう、お宝っていうのは人の心をかき立てるんだろう? 全部自分のものになる訳じゃないのはわかっていても、わくわくするんだよなあ。
ゲームでも、ダンジョンや街、お城の宝物は全部取らなきゃ気が済まなかったなあ。隠されたお宝を見つけた時の、あの達成感……いや、それは今はどうでもいいんだった。
盗賊のアジトにあったのだから、当然全て盗品と思っていい。盗賊に盗まれたものは、盗賊を討伐した人間に一度所有権が移り、そこから盗まれた人が買い戻すというのがこの世界の常識。
まあ、ものによっては高額になったり、逆に無料で返却されたりするそうだけど。その辺りはあれだ、街に戻ってフォックさんに丸投げだ。
ほら、組織の長ってのは、そういう時の為の存在だよ! 多分。
車と檻と一緒に砦に戻ったら、ローメニカさんが仁王立ちで待ってました……
「えーと、盗賊引き取りは――」
「もうじき来るでしょう。で? 背後の檻のようなものは、何?」
「えーと、その、アジト……ねぐらにいた連中で追加――」
「そのようですね。で? あちらの女性達が捕まっていた被害者?」
「そうです」
あれー? おかしいなー? 私、いい事したよね? 女性達も、多分酷い被害を受ける前に、救出出来たよね?
なのに、何でローメニカさんはこんなに怒ってるの?
その後、私はローメニカさんに延々説教される羽目になり、街から来た引き取りの一団の中にいたフォックさんがやっと止めてくれた。その頃には、私半泣きになってたよ……
「盗賊団潰しただけなのに。どうしてこんなに辛い目に遭わなきゃならないの?」
「身の安全を無視するからです! 自分の命は、自分で守らなきゃならないのよ!?」
「わかってますよう。だから、ちゃんと自分で出来る範囲で潰してきたじゃないですか」
「わかってない! サーリは何にもわかってない!!」
お説教第二ラウンドに突入しそうだったところを、これまたフォックさんが力尽くで止めてくれました。ありがとう、フォックさん。
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