第35話 セキュリティを考えよう
さて、まずは迎撃用のあれこれを考えようか。
「襲撃者を選別するところから……かなあ?」
テントを出して、ローテーブルの上で紙を前に唸る。ちなみに、ブランシュはお腹がいっぱいになった途端、おねむの時間だ。子供はたっぷり寝ないといけないって、テレビで見たからこれでいいのだ。
防備はある意味完璧だからこれ以上手をいれなくていいけど、迎撃となるとなあ……相手は確実に人間だし。
砲台も出せるけど、それだとやり過ぎ……
「あ! そうか。砲台!」
前に、魔獣の群れを討伐する際、あまりの数の多さにキレた私があれこれ考えて、じいちゃんに提案したところ、速攻却下を食らった案がある。理由は危険過ぎるからというものだった。
簡単な話で、ゴーレムを砲台にして、自立行動をする砲台にすればいいんだと思ったのよ。アニメのロボットみたいなやつ。
その時は断念したけど、一応イメージだけは残してあるんだよね。ごつい岩人形が砲台を抱えてうろちょろするのではなく、浮遊するボールタイプで全方位攻撃出来るタイプ。
そういう攻撃用のボールを、いくつか作って砦の周囲にばらまいておこうと思うんだ。何せこの辺りの土地も、全て砦と一緒にもらってあるから。そこに何を仕込もうと、私の自由! ……多分。
あれこれと思いつく限りの迎撃装置を書き出し、必要な素材もついでに書き出す。……結構な量だな、これ。
素材に関しては、いつもの検索先生が大活躍だ。ボールの外郭、内部構造、術式、エネルギー源などなど。これさえ整えれば、あなたにもすぐに作れます状態。
「んー……おお、もうこんな時間か」
外を見たら、既に日が暮れている。どんだけ集中していたんだ、自分。そろそろ晩ご飯の時間だ。あ、その前にお風呂。
「ブランシュー、お風呂入ろう!」
ブランシュにとっては、生まれて初めてのお風呂だ。何せ、今日孵化したばかりだからね、この子。
ローテーブルの脇に置いたクッションの上でお腹丸出しにして寝ていたブランシュを、指先で軽くつついて起こす。まだ起きたくないのか、プープーいいながら転がっている。普段はピイと鳴くのに、寝ぼけているとプーと鳴くのか。
「ほら、温かくて気持ちいいよ」
別テント内のお風呂は、二十四時間入れるようにしてある。もちろん、魔法でだ。浄化と水と火の魔法を連動させて、いつでも清潔なお湯に入れるようにしてあるのだ! そしてシャワーからも綺麗なお湯が出る。
ブランシュは籠の中にタオルを何枚か敷いて、その上にそっと乗せた。寝たまま洗ってもいいでしょ。
籠のままお風呂用のテントに持ち込み、まずは自分が体を洗う。自覚なかったけど、汗をかいていたみたい。肌がべとついていた。
シャワーブースにいる間も、ブランシュはピイピイとおしゃべりしている。ちゃんとおとなしく籠で待ってる、いい子なのだ。
自分を洗った後はブランシュを洗って、一緒に湯船へ。ブランシュもお風呂が気に入ったみたい。良かった。
お風呂の後は水分補給してしばし休憩。飲んでるのは普通の水だけど、やっぱり湯上がりにはフルーツ牛乳とかコーヒー牛乳を飲みたくなるよなー。作れないかなー。
こんな時にはもちろん検索先生だ! コーヒー牛乳の方は、普通にコーヒー入れて牛乳入れればいいと思うけど、フルーツ牛乳はなあ。
あ、イチゴミルクならなんとかなる。作った事あるし。
さて、検索結果やいかに。
……うーん、出来なくはないけど、手に入るフルーツがかなり限定されちゃうなあ。さすが北ラウェニア大陸。
くびれの辺りなら気温も高めだから果物も手に入りやすいかと思いきや、長らく土地が穢れていた影響で果樹園自体全滅だって……
南ラウェニアならいくらでも手に入るけど、輸送に時間がかかりすぎて途中で痛むし、こりゃフルーツ牛乳は諦めるしか――
「いや、待て」
大事な事を忘れていた。自分、この世界にない植物でも作れるじゃん。しかも、この砦は広い上に土地もある。天候にもよるけど、温室作れば果物も作れるんじゃね? ここの気候でも、リンゴとかはいけそうだし。
リンゴなら、お菓子にも使える。アップルパイは正義! あと簡単なアップルクランブルとか。生で食べてもおいしいし、一日一個のリンゴは医者いらずとか言うし。
よし。砦の中で日当たりのいい場所に温室作るの決定。温室は大きくして、果樹園にするのだ! 夢が広がるねえ。
その後、夕飯を食べてお休みなさい。明日はまた、一日忙しいぞー。
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