第23話 お掃除お掃除
デンセットの街は、活気があっていい街だと思う。でも、やっぱり臭いがね……せめて下水道なり作って水洗になっていればなあ。
砦はもらえる事が決まったから、今日から向こうで暮らすけど、まだあれこれ設備が整っていないので、食事は街中でするしかない。もしくは、買っていくか。
店舗もあるけれど、こっちでも青空市場が賑わっている。デンセットは海から近いせいか、魚もよく食べられるらしい。湖にも魚がいるんじゃないの? って思ったら、淡水魚もよく食べるんだって。
そんな市場を覗いていたら、ありました、淡水魚の料理。野菜と一緒にクリーム煮にしてあった。おいしそう。
今夜のメインはこれに決定。後は、スープと副菜かな。なくてもいいか。そう思って屋台を見回してみたら、あった。おいしそうなもの。
「おばさん、これ、何?」
「これかい? キノコのオイル漬けだよ。昨年の旬の時期にとったキノコを、自家製のオイルに漬けた保存食さ。この辺りじゃどこの家でも作ってるよ」
キノコかあ……でもおいしそう。という訳で、副菜はキノコのオイル漬けに決定。スープは、その隣の屋台で売っていたから、買ってみた。
テントはもらったばかりの砦の近くに出す。なんと、この周辺の土地も一緒にもらっちゃった。夢の庭付き一戸建て。……と言うには、ちょっと大きい物件だけど。
明日は朝から掃除だ。頑張るぞ、おー!
その前に、腹ごしらえ腹ごしらえ。買ってきた料理は、どれもおいしかったです。ごちそうさまでした。
明けて翌日。まずは砦の中を確認しておこうと思い、一歩中に入ってすぐ回れ右した。
いや、凄いのよ、臭いが。街中の臭さとはまた違う、色々なものが混ざった臭さ。獣臭やら糞の臭いやらあれやらこれやら。
多分、魔獣が引きずり込んだ餌が腐ったのも、混ざってると思う。魔獣は元の獣が何であれ、雑食になるので普通に小動物とかも食べるから。
「こ、これは、砦丸ごと綺麗にしないとダメだわ……」
こんな時の為に、開発しておいた魔法があるのだ! ……いや、再封印の旅でも、結構汚い場所に出くわしたからさ。
目をつむってやり過ごすって手もあったんだけど、せっかく素敵謎パワーな魔法が使えるんだもの。そりゃあ使わない訳がない。
使うのは、洗浄魔法。これ、うっすら浄化も入っているので、ものすごく綺麗になるんだ。ここ、魔物との戦争の最前線だったせいか、瘴気がこびりついてるし。
結果論だけど、この砦は私が手に入れて良かったんだよ、うん。では早速、魔法を起動しよう!
洗浄魔法は、水を使って丸洗いする魔法だ。魔法の水で丸洗いなので、本来なら水洗い出来ない素材でも、すごく綺麗に出来る。
それを使ったら、うん、凄い水柱が立ったわ。あれー? これ、こんなに派手な魔法だったっけ?
そういえば、洗浄魔法自体、外で使うのは久しぶりだわ。いつもは亜空間収納の限られたスペース内で使っていたから。
もしかして、邪神を倒したりしたから、レベルが上がって威力が上がってる? いや、この世界にレベル制はないけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます