第17話 連れて行かれました
しばらくそのまま待っていると、先程の女性が初老の男性を連れて戻ってきた。
「彼女です」
「本当なんだろうな」
「この数値ですよ!?」
「これは! ……ありえん」
私を置いてけぼりにしたまま、二人で何やら言い合ってます。もしもーし、当人放っておいて、あなた達だけでわかる話をするのはやめてもらえませんかー?
口には出さないけど、むすっとした表情で彼等を見ていたら、やっとこっちに気づいたらしい。
「ああ、ごめんなさい。つい……」
「その、君の魔力値がちょっと……な」
「ちょっと、何ですか?」
私の問いに、二人はお互いに顔を見合わせている。いや、どっちでもいいから説明してくださいよ。
二人を睨んだら、やっと教えてくれる気になったらしい。
「こちらの測定器では測りきれないんです」
「なので、場所を変えて測定してもらいたいんだが、いいだろうか?」
測定出来ないって、どういう事?
斡旋所を出て連れてこられたのは、広場に面した別の建物だった。
「ここは?」
「ここは冒険者組合だ。こっちなら、大型の魔力測定器があるから」
おお、冒険者組合か。確か、魔物や魔獣を狩ったり、突如出現するダンジョンに潜ったりするんだよね?
わくわくしながら彼等について建物に入ると、さっきの斡旋所に似た造りだった。ロビーとカウンター、そしてたくさんの人。
違うのは、ロビーの奥に置かれた大きな掲示板。そこに張り出されているのは、依頼の数々だ。
きょろきょろしながら歩いていたら、目立ったらしくあちこちから視線が飛んでくる。何かやだなあ。
ここに連れてきた斡旋所の職員二人は、カウンターに寄って組合の職員に何か話している。多分、測定器の事だろうな。
「え!? 本当ですか!?」
カウンターのお姉さん、声が大きい……。ロビーにいた冒険者のおじさん達も、何事かと彼女の方を見てるじゃないか。
あ、今ロビーにいるのは、確実におじさんと言える人達のみ。お兄さんとか君とか言いたい年代の人は皆無だ。
お姉さん、自分の発言がまずかったと悟ったのか、口を手で押さえているけど、もう遅いよ。
「とにかく、場所と機材を貸してほしいの」
「わかりました」
カウンターのお姉さんが、奥の方に行ったかと思ったら、こっちに出てきた。
「こちらにどうぞ」
お姉さんに誘導されるままに奥に行くけど、背中に突き刺さる視線が痛い……
案内されたのは、奥にある小部屋だった。
「こちらで少しお待ちください」
そう言うと、組合のお姉さんは出て行ってしまう。残されたのは斡旋所から一緒の二人と私だけ。
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