第11話 お買い物は大事
あのごろつき共は、巷を騒がすちょっとした悪党集団だったそうだ。うまく街に逃げ込むもので、捕縛がなかなか出来なかったらしい。
捕まえてくれた礼だと言って、報償金までもらっちゃった。四十万ブールだから、ちょっとしたおいしい臨時収入です。
さて、予定が少し押したけど、食材を買って少し服も見て、それからダガードに向かおう。
時刻は午後の四時。今からだと、食材のいいのがない時間帯かな。だったら、屋台で買い食いでもして、明日の朝一番で買い物に出ようか。
本当は街の外に出て野営したかったんだけど、外に出るとまた入るのに並ばないとならないから、面倒なので街の宿屋に泊まった。
うん、泊まるものじゃないね。大きな部屋に雑魚寝だったわ。しょうがないので、部屋の隅でそっと迷彩結界を張って、その中に簡易型のベッドを出して寝た。これ、寝心地悪いから好きじゃないんだけど、贅沢言えない。
一泊素泊まりで二千ブール、朝食は別会計で八百ブールだった。味もボリュームも満足の食事でした。
朝の空気がすがすがしい。今日買い込むのは主に野菜と肉類。魚はどうしようかな……いいのがあれば買う、くらいで。
後は服屋。今まで着ていたのって、全部仕立てがいい服ばかりなんだよね……
部屋着とかはそれでもいいけど、外を歩く時はもう少し庶民的なものを着ないと。なので、ここでいい服が見つけられればなあ、と思ってる。
市場が立っているのは、広場だ。時計塔の目の前で、中央には噴水がある。その周囲に、所狭しと屋台が並んでいた。
生鮮食品だけでなく、乳製品や焼いた魚や肉なんかも売ってる。ここで朝食にする人も多いみたい。ああいったのも、買っていこう。料理する気にならない時なんかに便利そうだし。
さて、まずはパンからかな。お米は、腰を落ち着けてから。ダガードに行く予定だけど、米を作れる気候かなあ……そこだけが心配。
いっその事、自家製酵母を作ってパンを作るのもいい。もちろん、魔法頼みですよ?
こっちのパンって、固めのが多いんだよね。日本人としては、もっと柔らかいパンが食べたいんだ! 固いパンを食べると、口の中が痛くなるんだもん。
それもあって、パンは自作するものありかなと。とりあえず、小麦粉売ってる店があるから、そこでパン用の強力粉を扱ってるかどうか、聞いてみよう。
無事強力粉と薄力粉を入手。薄力粉はお菓子に使うんだ。ローデンでは、お菓子もやたら固く焼き締めたものばかりが出たから、自分で作る柔らかいケーキが無性に食べたい。簡単なパウンドケーキでいいんだし。
あれならレシピが簡単だから、今すぐでも作れる。あ、焼成温度、何度だったっけ? 百八十? 百七十? ……ま、いっか。何とかなるなる。
卵は多めに、チーズと生クリームと牛乳も多め。牛乳と言ってるけど、牛の乳じゃないけどね。
野菜も買わないと。今の旬は葉物と根菜のいくつかだって。根菜類は、冬越えの為の大事な食料だって教えてもらった。
さて、食料は無事買えたから、次は服屋だな。
結果、惨敗しました……。この辺りも古着が普通に売ってるんだけど、いいのがなかったよ。
大体、この辺りの庶民は布地を買って、自分で仕立てるんだって。だから布地は豊富。仕方がないから、私も布地を買った。
これでダガードに到着してから仕立屋を探してもいいし、検索先生で型紙を探して自作してもいい。その時には、ミシンの魔法でも創り出そうっと。
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