第8話 イメチェンは大事
ドレスの売却金で、食材や何やら買い込む。コーヒー豆があったから、大量購入した。この辺りは、産地だから安いんだー。
オパフを出てしばらく飛んでから、また人気のない森の中に降り立つ。この辺りの木材、いい感じだな。少し伐採してもらっていこう。見た感じ管理されている森じゃないから、こんな山裾の奥の方なんて誰も来ないでしょ。
私は見える位置の木を全部伐採して、テントを張る空間を確保してから、もう少し周囲を切り開いた。
切った木は全部亜空間収納の中。この中で乾燥も出来るので、自然乾燥させるよりいい木材にする事が出来る。本当、魔法って便利。
まだ夕刻の時間帯だけど、テントを出して中に入った。
「まずはこの髪かな……」
テントに設えたドレッサーに向かい、自分の髪を一房つまむ。そろそろ見た目を変えておいた方がいいと思ったから。マントの認識阻害も、マント剥がれたら解けちゃうし。
幻影魔法で髪の色を変えてみた。まずは栗色。あんまり変わらないか。じゃあ、もうちょっと明るく。どんどん色を抜いていったら、ブリーチヘアになっちゃった。いや、これはいきすぎ。
その後もあれこれ試行錯誤をして、結局オレンジ色の髪色に落ち着いた。さて、じゃあ魔法で髪の色を抜いていこうか。
根元、というか毛根の辺りから色を変えていく。おお、さすがにここまで明るくすると、大分違うね。
その後、ストレートの髪質をクリクリにした。髪色と髪型だけでも、大分イメージが変わるなー。
次は目の色か……オレンジに合わせて、目の色もオレンジ……ってのは、ちょっと行き過ぎか。
私の目は元々色が薄い。たまに光りの入り具合で瞳の下が緑っぽくなる時もあるくらい。
って事は、緑がいいか。よし、これも瞳の色素を変えてっと。これに眼鏡でもかければ完璧かもしれないけど、それだとやり過ぎな気もするし。
散々悩んだ挙げ句、髪をおさげにする事で眼鏡は諦めた。これで、田舎から出てきたばかりの女の子って感じになったんじゃないかな。
よし、これで明日からはフードを使わずに街に入れる。もうちょっとで北ラウェニア大陸だ。そこで落ち着けそうな街を探そう。人がそれなりにいて、あまり過去や何かを詮索されなさそうな街。
そうと決まれば、今日はもう寝ようっと。
翌日は、あいにくの雨。空を行く関係上、晴天まではいかなくとも、雨では飛ぶ気になれない。
「もう一日、ここにとどまろうかな……急ぐ旅じゃないし、いっか」
誰にも見られていないから、だらだらしても罰は当たらないよ。私はベッドでごろごろしたり、クッションと一緒に転がったりして、早めの入浴を済ませてから寝た。
翌日は昨日の悪天候が嘘のような晴天。明るい日差しの中、テントを片付けてほうきに乗る。人目につかないよう光学迷彩を施した空気の膜をまとって、上空に上がる。
さあ、目的地はもうすぐだ。
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