第3話 エスパーチャイルドと人造人間

リハビリ期間中、私は莉菜さんの家に居候する事になった。

どうやら峰人さんも一緒についてくるようだ。

「だって莉菜元々独り暮らしだし、女の子二人じゃ心配じゃん?あと俺も居た方がなにかあったときに対応出来るし。」

「だからって週6日も家に来る必要は無いと思います。」

峰人さんの車(真っ赤なオープンカー。凄く目立つ。)の助手席で莉菜さんがぶつぶつと呟く。

「えーいいじゃん。料理だってしてるんだし、感謝してくれても罰は当たらないよ?」

「...イツモアリガトウゴザイマス。」

「なんで片言!?」

「あの...」

「ん?どうしたんだい初花君?」

「峰人さん、運転中は音楽プレーヤーのイヤホン外した方がいいんじゃないですか?」

さっきから気になってたけど、峰人さんはずっとイヤホンを付けたままなのだ。

全然外そうともしないので、音聞こえづらいだろうによく会話出来るなぁと感心すら覚えていた。

「あぁ、これの事ね。」

ちょうど赤信号だったのだろう。車を止めた峰人さんが体をこっちに向ける。

イヤホンを片方外し、端末を私の前に突き出した。

「これは俺の<口>なんだ。」

峰人さんの声が端末のスピーカー部分から聞こえた。

え、どういう事?

「疑問に思わなかったの?まだ20にもなってない私や小倉さんがこんな大事に関わっている事に。」

「いや、全然。」

「はぁ、とんだ常識外れなお嬢様ねぇ。」

莉菜がため息をつく。

「私も小倉さんもごく普通のティーンエージャーって訳じゃないのよ。

私達は<エスパーチャイルドプロジェクト>、通称<ECP>によって造られたのよ。」


エスパーチャイルドプロジェクト。通称<ECP>。

裏社会で有名な事業の一つでもある。 

顧客から預かった遺伝子情報に手を加える事で、普通より知能や身体能力が著しく発達した子供を造る事が出来るのだ。

個人の遺伝子情報から造れるので、顧客のほとんどが独身と噂されている。


「といっても、良い事ばかりじゃないんだなぁこれが。」

「私達エスパーチャイルドのほとんどが障害を持つか奇形児なのよ。」

「だから莉菜の目は左右色が違うし、俺は喋れないんだよ。」

「えっと...」

「なにか質問ある?貴宮さん。」

「あの、左右の目の色が違うってそんなに特別なんですか?」

「はぁっ!?」

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