第2話 思い出せない人造人間
「「えっ、今までの記憶が無い!?」」
「バグでも発生したのか?」
「いや、健忘って可能性もありますよ。」
「あの...」
「あ、説明するの忘れてたね。君の名前は貴宮初花。貴重の貴に宮、初めての花って書くんだよ。」
「いや、名前は今までの会話で大体分かったんですけど、どうして私の記憶が無いんですか?」
「「......」」
え、待って。急に莉菜さんも峰人さんも黙っちゃったよ。
「ごめんな。」
「私達も原因が分からないのよ。」
「そうですか...」
「あ、そうだ。まだ彼女にアンドロイド保険の説明してなかったな。莉菜、説明してやれ。」
「了解です小倉さん。」
「峰人って呼んでもいいぞ?」
「絶ッッッ対言いませんからね。」
「酷い!」
「今から説明始めるからよく聞いてね貴宮さん。」
「無視!?」
アンドロイド保険とは莉菜さんと峰人さんが所属する組織の業務の一つ。
契約者が病気又は事故で命が危うい場合、意識を電子化してアンドロイド体に移すらしい。
「大抵亡くなる前にアンドロイド体が完成してるんだけど君は加入してすぐに亡くなったから復活までに時間が掛かったんだよ。」
「一応生前の写真を元にアンドロイド体を作ったんだけど違和感は無い?」
「違和感...あ。」
「心当たりがあるの?」
「はい。なんか腕がおかしいんです。腕を見た時に初めて自分の記憶が無い事に気付いたんです。」
「ちょっと待ってね。」
莉菜さんは部屋を出たと思いきや分厚いファイルを抱えて戻ってきた。
「お母様から預かったあなたの個人情報よ。写真も貰ってるんだけど...」
「どの写真も長袖の服を着た状態だから腕の様子が分からないな。」
「まぁその点は記憶を取り戻してから直しましょう。」
「あぁ、そうだな。」
「ところで貴宮さんのリハビリプログラムはどうしましょう?」
「リハビリ?」
「記憶喪失のまま社会復帰は大変でしょう。記憶を取り戻すまで私達がサポートする事になったんですよ。」
「さっき上に問い合せたら神代学園の入学申込書を渡されたからそこに入学させろって事なんだろ。」
「では早速入学手続きしてきますね。」
「自分のも忘れるなよ」
「はい...え?」
「何驚いてるんだい。初花君一人だけじゃ心配じゃないか。」
「そ、それはそうですけど...」
「君の事なんだから勉強は大丈夫だろ。学校への送り迎えは俺の車でやるからさ。」
「いや送り迎えは結構です。あんな派手な車で来られるくらいならバイクを盗んでツーリングした方がましです。」
「......」
「では私はこれで。」
そう言い残して莉菜さんは部屋を去った。
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