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えるまぁ

第1話 記憶を無くした人造人間

気が付いたら私はそこにいた。

白い壁、白い天井、白い床、白いシーツ、白い服と塗りつぶしたかのように一面真っ白なその空間は何だかうつになりそうな気さえしてくる。

とりあえず起き上がって手を伸ばす。手が陶器で出来た作り物みたいだ。

違う。私の手はもっとこう...

あれ?

この時初めて気付いた。

私って誰?

「ようやく目が覚めたのね」

いつから居たのか、眼鏡と白衣が似合うお姉さんが横から声を掛けてきた。

「あんな死に方をしてショックだろうと思ってたけど、案外大丈夫そうね。」

「え、あの、その...」

「今小倉さんを呼んでくるから待っててね。」

私の言葉が届かなかったのか、お姉さんはすたすたと部屋を出てしまった。

聞きたい事たくさんあったのに。

私の名前は?

どうしてここにいるの?

カチッ

...え。さっきの音って左手からした?

おそるおそる袖を捲ってみると、そこに文字と数字が刻まれていた。

数字はどんどん増えていく。どうやらタイマーのようだ。

でもなんで?どうしてタイマーがここについているの?

何で何で何で何で何でなんでなんでなんでなんでなんでナンデナンデナンデナンデナンデ.........?

う、頭が痛くなってきた。

「小倉さん、こちらが貴宮さんの部屋です。」

「おう、案内ありがとな。莉菜。」

あ、さっきのお姉さんだ。隣の髪を茶色に染めたお兄さんは呼びに行ってた〈小倉さん〉かな?

「やぁ、君が初花くんだね。気分はどう?」

「何で初対面なのに馴れ馴れしく話しかけているんですか。貴宮さん困っているでしょう。」

「これが俺のスタイルなんだから気にするな。...もしかして莉菜、妬いてるのか?」

「確かバカは死ななきゃ治らないんですよね。生命保険の受取人私にしてから一回死んでください。」

「ひでぇ、ここで『べ、別に、妬いてるんじゃないんだからねッ!』って言ったら可愛いのに。」

「ツンデレがお望みなら自分で恋愛シミュレーションゲームを作ればいいじゃないですか。」

「お、それは名案だ。友達に莉菜そっくりの立ち絵を描いてもらおう。」

「何で私なんですか。」

この二人...付き合ってるのかな?

「私は断じて小倉さんと付き合ってないからね。」

え、お姉さん人の心読めるの?エスパー?

「全部声に出てたわよ貴宮さん。あと私は〈お姉さん〉じゃなくて莉菜よ。」

「自己紹介遅れてごめんな。俺は小倉峰人って言うんだ。隣に居るのは俺の部下の星野莉菜だ。」

「こんな私達がリハビリパートナーだけどよろしくね。

貴宮初花さん。」

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