ラスボスメーカー 第13話
植村とは名古屋駅の金時計前で待ち合わせをしていた。
はじめは栄で、ということだったが植村の方から名駅でもいい?、ということで変更になった。俺と杉本は帰り道なのでどちらでもよかった。ちなみに
19時。
金曜日ということもあって金時計前は人でごったがえしていた。
「金時計前ってさ、みんな待ち合わせ場所に使うけど見つけんの大変だよね。こんな人いたら絶対見つかんないし。」
杉本が他の待ち合わせをしている人々を見ながら言った。
「わはは、そうだね、そうなんだけどさ、名駅ってほら、他に待ち合わせ場所ってないでしょ。銀時計もあるだろうけどあれは反対側だし。あとは・・・ナナちゃんのとこかな、でもあそこはあそこでまた微妙かな。」
名駅での待ち合わせはけっこう困る。まあどこの駅でもこれくらいの規模の場合は待ち合わせ場所というのはけっこう困るものなのかもしれない。
「あ、彩ちゃんからだ。着いた?だってさ。彩ちゃんもう来てるんかな?」
俺は辺りを見回す。俺たちは金時計の近くに固まって立っていたが、もしかすると植村たちはすぐ近くのデパートのショーウィンドウあたりにいるかもしれない(金時計で待ち合わせ、と言いつつデパート前にいる人もよくいるのだ)。
「お待たせ!」
ふいにポンと肩を叩かれた。振り返ると植村がいた。それと知らない顔の女の子が2人。
「ほんと人多いねー、探しちゃった。金曜日だから仕方ないか。あ、ごめんね、待ち合わせ場所変えてもらって。友達がバイト終わりでさ、名駅の方が都合よかったんだ。」
植村は後ろに恐縮して立っているこの方をちらりと見ていった。ぺこっ、と軽く会釈をする女の子。反射的に俺もぺこっとしておいた。
「そういうことか。」
「うん、あ、こんなとこであれだけど、紹介だけしとくね。同じ学校の加藤さんと久本さん。」
「あ、はじめまして。」
「こんにちは。」
加藤さんと久本さんが交互に挨拶をする。
「あ、こちらこそ、はじめまして。へー、え、じゃあ2人ともデザイナーってこと?」
「うん、そうだよ。加藤さんは私と同じでイラスト、久本さんはね、演出かな、Flashってわかるよね?久本さんはFlashで演出作ったりしてるんだ。」
後ろで頷く久本さん。
「あ、Flashね、わかるわかる、へー、そっかそっか、すげーな。」
なにがすごいのかよくわからないがしきりに感動している様子の杉本。デザインを勉強している、という人に出会うのも植村以外でははじめてのことだからそういうのに興味津々、というところだろうか。
「ということで、こんなとこだとあれだしさ、どっかいこっか。」
「ああ、いいよ。行きたいとこある?」
「え、決めていいの?えっとね、この間あそこにできたパンケーキ屋さんがいい!」
パンケーキかよ、と思ったがリアクションをする間もなく、
「お、パンケーキ!?いいねいいね、行こう!」
と甘党の杉本がすかさず反応してしまい、パンケーキ屋に行くことになった。
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