Jewels 第14話

15時。1日目のJewelsは終了の時間だ。

参加グループが所有する端末にインストールされたアプリでは終了のアラームがなった。同時にビーコンの機能が停止されるようプログラムも仕込んでいた。

つまり実質アプリは機能しないも同然。

参加グループが続々と運営事務局であるうちの教室まで戻ってきた。それぞれ見つけた宝箱を提出してもらった。結果発表はゲームを開始した校庭で行うことにしていた。

そして結果発表。

「1位は・・・。"予備校予備軍"!発見した数は4個です!おめでとうございます!」

おーという歓声とともに拍手がおきた。"予備校予備軍"は3年生の男子5人組のグループだった。3年生っぽいグループ名だ。浪人を覚悟している、という意味合いだろう。

「2位は2グループいます。まず1グループ目は・・・"栗木んとん"!おめでとうございます!そして2グループは・・・らーめんシスターズです!おめでとうございます!」

"栗木んとん"は1年生の男女混合7名グループ。グループ名は担任の先生の名前をもじってつけた名前だそうだ。"らーめんシスターズ"は2年生の文系女子4名グループ。4人でらーめんをよく食べにいくんだろうか。発見した宝箱は両グループともに全部で3つだった。

入賞者にはお菓子のプレゼントをし、植村の締めでゲームは終わることにしていた。

「みなさんありがとうございました!学校は救われましたー!」

植村の能天気な締めの挨拶に笑いが起こる。

トラブルもあったがうまくいった方だろう。1日目のJewelsはこれで終了した。

「おわったおわったー!みんなおつおつー!」

植村はごきげんだ。

「水原くんも杉本くんもおつおつ!」

「ああ、お疲れ。」

「おお、彩ちゃんおつおつ、大活躍だったねー。」

「でしょでしょー、褒めて褒めて!」

「いやいや、まだ明日もあるしね、褒めるのは明日にとっとくよ。」

「まあでもよかったよほんと。植村、お疲れ。」

「でしょー、明日もがんばるよん。」

植村は得意げに言った。でも本当に今日は植村の活躍はありがたかった。

「でもまだ明日もあるからな。明日の準備しないとな。」

「そうそう、なんかいろいろ準備してるんでしょ?こっちやっててあんまりよく知らないけど。」

「そうなんだってー、水原ちゃんが突然スマホとビーコン追加で用意しろって言うからさー。この鬼!」

「鬼じゃないだろ。」

「鬼!」

植村までのっかってきた。

「うるせーな、念のためだよ念のため。用意しきれなくてもいいんだよ、ただできるだけ用意しときたい、てだけ。」

「まあね、こんだけ楽しそうにやってるの見ちゃうとなんとかしよう、て思うよな、ほんと。」

「ああ、そうだな。」

配慮不足のところはあっただろう。でもこれだけ多くの人が自分たちの作ったゲームで夢中になっている姿を見てしまうともっとようしたい、という欲がでてくる。杉本も同じなんだろう。

「がんばってよかったね、ほんと。」

「だから彩ちゃん、明日もあるからね。」

杉本が釘をさす。

「もー、わかってるって。この巫女さんの衣装、家帰ってすぐ洗わないといけないし今日は早く帰らなきゃ。」

「そうだな。女子はみんなそうだよな、まあ明日の準備は男子でやっとくから今日は早く帰れよ。」

「うん、そうする、ありがとう。」

「ほいじゃあ俺たちは明日の準備の続きやりますかー、な、鬼リーダー。」

「誰が鬼だ。」

植村が笑っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る