Jewels 第2話

うちの高校では3月末に次学年(俺たちの場合は2年になる)のクラスが発表される。

発表といっても結構雑。エクセルでつくった名簿をプリントアウトした用紙を各生徒の名前が書かれた行ごとにチョキチョキ切った長細い紙切れを渡される。その紙切れには自分の名前と次学年の所属クラスが書かれている、というわけだ。

担任からもらった俺のその長細い紙切れには3組と書かれていた。

俺は2年3組、ということになる。

杉本とは今も一緒のクラスだったからその場で見せ合った。

「お、また一緒じゃん、水原ちゃん。運命の赤い糸っていうの?なんか感じちゃうよね。」

「感じねーよ。」

杉本とはまた一緒だった。

俺たちは引越しという形で次のクラス、つまり2年3組の教室へと向かった。授業が始まるのはもちろん4月からだがその前に自分の荷物を移しておくのがうちの高校の通例だった。

1年生と2年生では校舎が変わる。2年3組は隣の2年生用の校舎の最上階の3階にあった。俺と杉本は体育館シューズやら学校に置きっ放しの教科書を抱えて新しい教室に向かった。


教室に入るともう他のクラスメイトが集まってきて教室の中はガヤガヤしていた。

俺はぐるっと教室を見回した。顔は知ってるいるが話したことのないやつが多かった。1学年300人以上いるんだから仕方がない。なんか緊張するな、と杉本と話していたときだった。

「あ!水原くん、杉本くん!」

すぐ後ろに植村がいた。

「2人とも、もしかして2年3組?」

「そう。え、彩ちゃんも?」

植村は満面の笑みで言った。

「そう!2年3組!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る