ランサー 第11話

俺と杉本が作ったスマートフォン向けアクションゲーム、ランサー。

そのランサーを開発した話が学校内に広まるのにたいして時間はかからなかった。

ランサーはスマホ向けのゲームだったからか実際にランサーをアプリのダウンロードストアで見つけてプレイしてくれる人もいた。もちろんストアに公開しているから不特定多数の人にプレイしてもらえるのだが、プレイしてくれただいたいの人は学校の友達だった。

だからよく直接感想を言われた。

ポジティブな意見も、ネガティブな意見もあった。

8割、9割くらいの人は素直に驚いてくれていた。「すごい!」、って。

一番多かったのは絵、デザインに関しての意見。

「絵が好きじゃないんだよな。」

「もうちょっとかっこいい武器だったらいいのに。」

「なんかちょっと昔のゲームの絵みたい。」

だいたいそんな意見だった。

その通りだと思っていた。

作っていた俺たちもそれはよくわかっていた。

ただ、いい解決策が見つからなかったのだ。俺と杉本が思っているランサーの世界観にちょうどいいイラスト、キャラクター、ボタンなどのUIパーツなんてそうそう簡単にWeb上で見つけられるわけもなかった。杉本とはランサーの次のゲームの話もはじめていたのだが、そのときにも決まって問題になるのがこの絵、デザイン、イラストの問題だった。

「お金があればなー、書いてもらえたりするのにな。」

ゲーム用の絵、イラスト、UIパーツ等の画像制作はネットを通して制作依頼をすることができる。もちろんお金もかかるしその費用もピンキリだった。クオリティの高いものにはそれ相応の費用が必要だった。そりゃそうだ。

「さすがにイラストまで書くわけにはいかないしな。他にもやることはあるし・・・。」

この話になるとどうしてもそこで話が終わってしまった。ただ、そこを解決することが次に俺たちがひとつレベルの高いゲームを作るためには必要なステップ、ハードルだとお互い理解していた。


夏休みにも何度かどう解決していいかわからない課題に直面することはあった。

でも、今回に関しては完全にお手上げかもしれない。俺も杉本もそう思っていた。

次回作の企画も決まらずもんもんとしていた昼休み。

植村彩うえむらあやが俺たちの前に現れた。

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