第4話 帰宅と準備
7時にタイムカードを押し、課を後にした。すでに大半の課員は退社しており、課長と課長代理ぐらいしか残っていなかった。総務課には王の息のかかった社員しかいない。おそらく僕の立場を知っているのだろう、僕の仕事ぶりには一切口を挟まない。
いつものように酎ハイのロング缶を2本買い、夜の仕事場兼寝床に戻った。そしてすぐにパソコンを開き、王女の就寝予定時刻を確認した。今夜は10時だった。しかし今日は、王との夕食後にお城の室内競技場でソフトボールの練習とあった。その後入浴を済ませ、この離れにやってくる予定だった。
昨夜のお話で、ソフトボールに興味をお持ちになったのかな?まあ、体を動かすことは快眠のためにも良いことだ。王女のお相手は騎士達がするはずだ。僕と王女の接触には、時間的にも空間的にもかなり制限がかけられおり、お声がかかることはまずない。気楽でいい。
さて、王女が来室するまでに、食事と入浴と歯磨きを済ませておこう。アルコールは飲めない。王女より先に眠ったら、騎士の手により永眠させられてしまう。ただ、タバコはOKだ。王がヘビースモーカーであるため、王女はタバコの匂いが好きなのだ。もちろん自身はお吸いにならないが。僕の喫煙歴は短い。この任務を仰せつかり、飲酒に制限をかける必要が生じて吸い始めた。最初は重いのをふかし、ある日偶然肺に煙が入ってその快楽に目覚め、以来5か6ミリで甘い銘柄を肺喫煙している。食後のコーヒーと一緒に、今も一服している。ああ、幸せだ〜。ゲホゲホ。
3本目を吸い終えた時、お風呂に湯が溜まった。さあ、入ろう。
パジャマに着替え、またパソコンを見た。王女が練習を終え入浴を済ませ、こちらに向かっているとの連絡が入っていた。あと10分ほどでこちらに到着する予定だ。今夜は早く眠ってくれそうな気がする。
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