第2話 メンバー紹介
部屋の電気を落とし、キャンドルに火を灯した。この柔らかい炎だけで眠ってくれればいいのに。そうなりそうな気配話全くなかったので、僕は学生時代に入っていたソフトボールサークルの話を始めた。お姫様はあまりスポーツが好きではなかったが、僕がどうしたとかこうしたとかという話には興味を示してくれる。興奮させてもいけないし、退屈させて怒らせてもいけない。僕の話でありながらスポーツの話をすることでバランスを取り、眠りに導くのだ。結構難しいんですよ。
お姫様、僕、昔はピッチャーだったんですよ。味方がエラーすると、よくグローブを地面に叩きつけては怒ったものです。えっ?嫌な人ですって!失敬ですよ、お姫様。せっかく打ち取ったと思ったらポロリですよ?それをツーアウトでやられて、しかも失点に結びついたら、泣くに泣けませんですよ。まあ、僕の短気ぶりを暴露するのはこの辺にしておきます。我がチームのメンバーを紹介しますね。ポジション順に言いますね。まずキャッチャーのM君。僕の愛妻です。きゃっ!男同士で学生結婚なんてすごいわね〜って、比喩ですよ。投手と捕手は夫婦みたいなものなんです!あっ、ちなみにバンドのベースとドラムもそうですよ。で、まつい君は期間限定のお菓子をすぐ買いだめしちゃうんです。それを僕がばくばく食べちゃうんです。
彼はいつもニコニコしていて、どんなボールでも文句を言わずに捕ってくれたんです。あっ、ちょっと難しいこと言いますけど、僕らがやっていたのはスローピッチに毛が生えた、ミドルピッチとでも言いましょうか、まあ、ぬる目の競技です。だから捕手が球を後逸しても別に問題ありません。盗塁ももちろんありません。えっと、姫様?ちゃんと聞いていますか?もしもし〜。
寝たみたい。後10分寝顔を見たら部屋に戻って飲もう。お姫様もお酒飲めればいいのに。かわいい寝顔。
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