第3話

困ったなぁ。

深いため息は職員室の慌ただしさでかき消される。

私は机の前で腕を組んでいた。

私のクラスの1人が成績が全くよくなく、右肩下がりになっている。

成績トップがいればワースト一位もいるわけであって普通のことだが。

最初から落ちていたわけではない。

「授業態度も悪いわけじゃないしなー」

小さく呟くと隣の先輩教師が顔を覗いてきた。

「良くない生徒でもいるのか?」

「いえ成績は悪いんですが・・・。なにが原因かわからないんです。提出物も課題もしっかり出してて、休むことも少ない。学校の勉強がついていけないわけでもないし。でもテストの点数が悪いんです。授業が悪いのでしょうか。」

「ここを何高校だと思っているんだ?この県1番の高校だ!私もこの高校で良い大学にでているのにな、毎年何人もの有名国立大学の合格者出してるのにだね!先生の授業のせいじゃないのか?」

周囲の驚いた表情を見て我に返った教師が背筋を伸ばし自分の作業に戻る。

「荒げてしまったな。とにかく、成績が悪いならその原因を突き止めて、改善すべきですよ。

それが教師の仕事です。」

先輩教師は視線を戻し採点の続きを始めた。


チャイムがなる。

朝の会議の時間だ。

一度は面談してみないとわからないなあ。

そんなことを思いつつ、今日を乗り越えようと教案を確認した。

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