第4話
図書館で借りた本は別格だ。
自分で買った本は毎日食べるお弁当だが、図書館の本は遠足に行った時の山の上で食べるおにぎりのように贅沢に思う。
作者順に並べられた本は図書委員の粋な計らいでシリーズがちぐはぐに並んでいる。未知の領域に足を踏み入れ掴んだその宝はなによりも、おいしい。
「今日はどんな味かなー?」
周りも気にせず口にする。思わず笑みがこぼれる。
そういえば図書館でいつも勉強している子、初めて顔を見たかもしれない。顔の表面がやけに凹凸してたから、悩んでそうだったな。
ま、いっか。
ホームルームまでのわずかな時間、賑やかになりつつあるクラスの中、私は言葉の収穫に勤しんでいた。
二度目のチャイムがなり我に返る。いつものホームルームが始まる。
いつもの連絡事項、周辺の不審者情報、先生の身の上話。頭の中を右から左へ通り抜ける事ばかりだ。聞き覚えのある、いや私の名前が呼ばれた。
「は、はい!」
周りはすでに授業準備に入っている。
慌てて飛び出て足が絡まる。つんのめりそうなところでグッと堪える。
教師のところへたどり着くと、じっと目を見られた。
「放課後面談だ。これからについて話し合う。」
怯える間も無く簡潔に言い渡された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます