第4話

図書館で借りた本は別格だ。

自分で買った本は毎日食べるお弁当だが、図書館の本は遠足に行った時の山の上で食べるおにぎりのように贅沢に思う。

作者順に並べられた本は図書委員の粋な計らいでシリーズがちぐはぐに並んでいる。未知の領域に足を踏み入れ掴んだその宝はなによりも、おいしい。

「今日はどんな味かなー?」

周りも気にせず口にする。思わず笑みがこぼれる。

そういえば図書館でいつも勉強している子、初めて顔を見たかもしれない。顔の表面がやけに凹凸してたから、悩んでそうだったな。


ま、いっか。


ホームルームまでのわずかな時間、賑やかになりつつあるクラスの中、私は言葉の収穫に勤しんでいた。


二度目のチャイムがなり我に返る。いつものホームルームが始まる。

いつもの連絡事項、周辺の不審者情報、先生の身の上話。頭の中を右から左へ通り抜ける事ばかりだ。聞き覚えのある、いや私の名前が呼ばれた。

「は、はい!」

周りはすでに授業準備に入っている。

慌てて飛び出て足が絡まる。つんのめりそうなところでグッと堪える。

教師のところへたどり着くと、じっと目を見られた。

「放課後面談だ。これからについて話し合う。」

怯える間も無く簡潔に言い渡された。

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