第55話

「あとでまとめさせて」

と後回しにしたところで、自室に戻ってきた。

彼にはスマホはないがパソコンはあるので、調べたり書くことができる。

隣の部屋からはタイピングの音が聞こえる。


さて、待ちぼうけを食らってしまった。

いや待ちぼうけしてはダメなのだが、今やることは材料を集めることなのだ。


やったことと書いたメモに

レビューを書き続けた。と書いた。


3分も経たずに床に突っ伏した。


一つしかないのだ、高校2年も立とうというのに最近始めたレビューのことしか書けないのだ。

やったこととして成り立つようで成り立たないものばかりた。

そして私が目指そうとしているものに直結しているものではないのである。

足が速いわけでも、部活で成果をあげたわけでもない。ましてや成績の部分で頑張ったことなどない。

でっち上げても良いのだが、面接で聞かれた時になんて答えよう。


いっても自己推薦文だ。

自分の性格とか熱意もかけると思う。

その辺はカバーしてもらえば、文字数は達成できるかな。


自分が一番純粋に語れる熱意は文字についてと書きたいところだ。

文字を見ることを折れそうになったが、今は正気を保っている。

文字の美しさや形、そして味など語れることが山ほどある。


これを伝えるのはどんな試験より難しそうだ。

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