第51話
朝、ウチは担任であるおじいちゃん先生からのご指名を受けた。面談だそうだ。
原因は自分が適当に書いた進路だと確信した。
ウチも面談ざんまいになってしまう運命なのかと思いつつ、先生に言われた通り小さな会議室の席につく。
「この前提出してもらった紙だけど、それでいいかね?」
資料の上にこの前提出した紙がのっている。
「...全然ダメだと思います。少し相談させていただきたいです。」
ウチのことはあまり話したことがない。
世の中でいう器用貧乏な自分は、自慢話に聞こえてしまわないかビクビクしている。
そして、何者にもなれない自分がとても小さく見える。
「たぶん...。先生は好きなこととか興味があることから考えようとか言うかもしれないけど、今まで興味のあることに力を入れるとことごとく失敗するんです。そして今から興味があるもの、好きなものを見つけるのは難しいと思います。」
ある一種の呪いかもしれない。
「...そうか。じゃったら、まずは自己分析シートを埋めてみなさい。」
資料群からシートを引っ張り出してきた。
差し出されたものは引っ込めさせるわけにもいかず、20問ほどのシートを進めてみる。
「まあ結果はこんな風になりました。で、君に合う学部はこんな風だ。」
上位に心理学が並んでいた。他に情報学、教育学などが入っていた。
「へー。」
へーしか言えないじゃんこんなの。
「まあ、こんな学部が合うんじゃないかと言われてるところだ。これがある大学は...
」と分厚い資料を引っ張り出す。
先生に言われた通りに紙を書き直す。少し汚くなった紙を提出し、今回は終わることとなった。
「ほんとにこれでいいのかな。」
ウチはそう呟き会議室をあとにした。
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