第49話

寝る前に紙を埋めておかないとと思い、机に広げた。


大学はいっぱいある。親は二人とも、そこそこ聞いたことのある大学に行っていた。

まあ先ずは調べるよね。と検索してみる。

「オーケーぐるぐる。大学 人気」

効果音とともに志望校ランキングが出てきた。

知っているような大学がいっぱい並んでいた。ウチみたいながありそうでない人には頑張って勉強してそういうところに入るのがいいんだろうな。


どんなこともなんとなくうまくできていた。学業もスポーツも人よりかは少しできるくらいの子供だった。むしろ意識するとできないことが多かった。

そして今も変わらぬままで来てしまった。得意なことを十分に伸ばすことができない。前の試合でも、余裕で勝てていたはず。前のテストでももう少し良い点が取れたはず。

そんなことの繰り返し。

願ったものは、一歩手前で打ち砕かれる。

小さい頃の夢がなくなったことの原因のほとんどはこれ。

うなだれながら横になる。


「オーケーぐるぐる。ウチが行きたい大学!」

ウチは出てきた大学名を書いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る