第47話

全治まで残りわずかとなった。ギプスは外れ、サポーターとなった。

そしてウチらの高校生生活ものこり3分の1をきりそうだった。


「進路ねえ。」

朝礼の時間、少量のプリントと絶対提出の紙が渡される。


授業中、ふと思い出し、プリントを広げる。

第1の設問

卒業後の予定を教えてください。

進学(大学)、進学(専門学校)、就職、その他。とある。

一人っ子のウチは親からのプレッシャーを密かに感じている。両親の目はまっすぐに自分の心に訴えてくるから痛いよね。ま、とりあえずは進学(大学)で。

第2の設問

進学と答えた方、第1希望の大学から第3希望の大学まで書いてください。

具体的な学校名は授業でちらほら言っていたものしか知らない。よくテレビで聞くような、有名な学校ばっかだ。んじゃその3つで。

と思ったけど、流石に怒られそうなので、消しゴムで一気に消す。


やりたいことってなんだっけ。

小さい頃は、いろんなものに興味があったはずで、いろんなもので感動したはずだ。

泊まったホテルのサービスが素晴らしすぎてホテルマンを目指したり、テーマパークで楽しかったからスタッフを目指したり。それぞれ小さな感動から夢を持ったはずだった。


なんで大きくなると、現実を見てしまうのだろうか。

本当に夢を持っていない人など少数なのだろうか。


思考はブラックホールの中に沈んで、出口を見失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る