第46話

だいたい私の性質がわかってきた。

文字が踊り出してしまうことは知っていたのだが、正確には見つめてから3秒経つと文字たちのダンシングタイムスタートだ。だけど、デジタルの文字だとその猶予は長くなる。


レビューとは創作活動だ。

自分の気持ちを言葉にするだけでも大したものだと思う。

これまでのメモを見つめ直してみる。

最初は感想だけを書き留めていたが、だんだん慣れてくると、色やものに対してのコメントが多くなっている。


夕飯後のノルマを終えると、新しいメモを開いてみる。

今の自分なら少しストーリーはかかるかもしれない。

淡い期待を大きい期待にするために、少し頑張った。


翌日の昼、優子の元へ急いだ。

昨日の試作品を見てもらおうと教室に入ると、不機嫌そうな顔をしてこちらを見ていた。

「どしたん?」

「筋トレ飽きたーボール蹴りたーい!」

とギプスの足をぶらぶらする。

「今日のご飯はー?」

コンビニ弁当を持ち上げ見せる。

「それよりも見てほしいものがあるから。」

これなんだけど、とスマホを見せる。恥ずかしさで顔が赤くなることがわかる。

ほおーと言いながらスクロールする。


「これは、モデルはウチ?」

「そう」

「いい趣味してんじゃん。」

スマホを返しながら、にやっと笑った。

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