第39話

「ということで、なんでも捜索癖のあるウチは君を突き止めたんだけど、君とふゆみんはどんな関係?田中パンダくん。」

「フルネームで呼ぶのはやめてください。恥ずかしいので。」

ウチはある男を問いただしていた。

知り合いを使って昼休みに彼を呼び出すと、パットしないヒョロガリ男が出てきた。

「ふゆみんのすきピになろうなんて150年早いんだよ!」

「すきピ?って。僕はただ彼女のことを...いやなんでもないです。」

「ちゃんと話しなさい。さもないと蹴り入れるぞ。」

ボールを蹴る振りをする。シュートを得意とする右足は空を切る。

「ひっ...ごめんなさい。人とあんまりこうやって喋ったことないんです。」

「そんなん一言聞いただけだわかるわ!」

どんどん小さくなる田中をウチは睨み返す。

「ふ、冬木さんはいつも図書館で会う人なんです。とても、その、可愛くて...。思わずお近づきになりたいなあなんて、思ったり、して。ました。」

「ふーん。」

目線を合わせてこないパンダに一歩迫る。

「で、なんで相手のことをなんも知らない友達にもなってない男がいきなり愛の告白してんのよ。」

「ごめんなさい。ごめんなさい。二度としません。」

「それでよし。」

「なんもよくないです...けど...。冬木さん。ちょっと様子が変わった気がします。」

「前までは小説とか、いっぱい借りたり、読んでた気がします。けど、今、絵本よんでる...」

長くなりそうなので、足早に去った。

遠くで小さくなったパンダはまだ語っていたが、ウチはもう満足していた。

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